なぜ作られた? ランボルギーニ初の全天候型スーパーカー ウラカン・ステラート誕生秘話

公開 : 2022.11.24 06:05

ランボルギーニは、11月30日に発表予定の新型ウラカン・ステラートの開発背景を公開しました。オフロードも走れるスーパースポーツカーというユニークなアイデアは、いかにして生まれたのか。

全天候型スーパーカーの誕生秘話

ランボルギーニ初の全天候型スーパーカー「ウラカン・ステラート(Huracan Sterrato)」は、11月30日にワールドプレミアを迎える予定だが、今回新たな公式画像とともに、その開発背景が明らかにされた。類を見ない新型車の誕生秘話が語られている。

ウラカン・ステラートは、米マイアミで開催のアートフェア「アート・バーゼル(Art Basel)」で実車が披露される見込み。2023年に発売され、内燃エンジンのみを搭載したランボルギーニの最後の市販モデルとなる。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート    ランボルギーニ

ランボルギーニの新たなコンセプト「Driving Humans Beyond」の先駆けとして、あらゆる地形を克服するために構想・設計された。同社のモータースポーツ担当副社長であり、ステラート・コンセプト(2019年)の開発時に最高技術責任者を務めたマウリツィオ・レッジャーニは、「すべてはウラカン・プロトタイプのシャシー番号53から始まった」と述べている。

「開発チームは、走る実験室として、高い地上高を持つオフロード車を作りました。初めて運転する機会を得たとき、この予想外のスーパースポーツ・コンセプトがいかに楽しいものか、すぐに実感できました」

「そして、プロトタイプを完成させた後、経営陣もこのクルマがもたらすエモーションに納得してくれました。このクルマはランボルギーニのオフロードコースである、ナルドのストラーダ・ビアンカで生まれたのです」

レッジャーニは、ナルドのオフロードコースをニュルブルクリンクの「緑の地獄」に例えている。ウラカンのプロトタイプを使い、実験台として悪路走破性を持たせてみたところ、予想を超えて面白いものができた。それがウラカン・ステラートの始まりだったようだ。

実験的な1台が予想外に楽しかった

一方、現在の最高技術責任者であるルーヴェン・モアは、次のようにコメントしている。

「ステラートは、わたしにとって最も身近に感じられるプロジェクトの1つです。わたしがランボルギーニの車両開発責任者として初めて経験するプロジェクトなのです」

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート    ランボルギーニ

「ナルドのストラーダ・ビアンカでテストをしていたとき、スタッフの何人かが、このダートトラックで古いウラカンの改造車を走らせようと考えました。そして最初のテストが終わった夜、マウリツィオ・レッジャーニやミィティア・ボルケルトと一緒に夕食をとりながら、ウラカンとウルスの中間にあたるクルマというアイデアを練り上げました」

「目標はオフロード車というよりも、あらゆる路面状況に対応する、これまでにないスーパースポーツカーを作ることでした。そこでプロトタイプを製作したのですが、本当に素晴らしいクルマに仕上がっており、未舗装路を走るのがとても楽しく、本格的なラリー向けのセッティングができていました。そして今、お客様にも大変喜んでいただける決定版が誕生したことを誇りに思います」

2019年に公開されたウラカン・ステラート・コンセプトは、5.2L V10エンジンのパワーと、あらゆる地形でドライビング楽しむ多用途性を組み合わせたものだった。スポーツカーの特性と冒険心を全面的に打ち出したスタイリングは、特異な存在感を放っていた。

デザイン責任者であるミィティア・ボルケルトは、当時を振り返り、「コンセプトのデザインは最初から楽しかった」と語る。

「わたし達の目標は、楽しさを追求し、道路やサーキットを超えて世界を走りたいというアクティブでスポーティな人々のために、他とは明らかに異なるものをデザインすることでした。最終的に完成したステラートは、コンセプトがそうであったように、一目見ただけでランボルギーニとわかるものであり、同時にランボルギーニをユニークで新しい領域へと押し上げるものです」

ウラカン・ステラートの発売により、約70年にわたるランボルギーニの内燃スポーツカーに終止符が打たれることになる。

ランボルギーニのフラッグシップモデルであるアヴェンタドールの後継車は、PHEVとして2023年にデビューする予定だ。引き続き大排気量のV12エンジンを搭載し、新たにハイブリッド要素を加えることで、現在のモデルよりも大幅にパワーアップすると言われている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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