グランドフィナーレに相応しい アウディR8 V10 GT RWDへ試乗 最終仕様は620ps
公開 : 2022.11.30 08:25
いよいよR8の最後が到来。エンジンとサスペンションに手が加えられた、RWDの最終仕様を英国編集部が評価しました。
もくじ
ー過去最もパワフルな後輪駆動のアウディ
ー四輪駆動と同等の620psと57.5kg-m
ー重要視された専用サスペンションの開発
ーグランドフィナーレに相応しい最終仕様
ーアウディR8 クーペV10 GT RWD(欧州仕様)のスペック
過去最もパワフルな後輪駆動のアウディ
自動車メーカーの多くは、自社モデルのエモーショナルな部分について触れたがる。特にスポーツカーの場合は。クルマ好きが愛する、ドイツブランドでも変わらない。われわれメディアは鵜呑みにせず、それらを冷静に捉える必要性がある。
しかし、今回試乗したアウディR8 GT RWDに対しては、そのすべてに夢中になってしまった。インゴルシュタットのラインナップの頂点を飾る、内燃エンジン・スーパーカーの最後を締めくくる存在として、見事に仕上げられている。
R8は、アウディにとって極めて重要なスポーツモデルだった。エモーショナルにならずにはいられない。
2003年にコンセプトカーが発表された時、アウディはRSを関する冠するモデルを2台しか擁していなかった。だが現在では車種を増やし、10台を取り揃えるに至った。
ミドシップのR8は、ブランドに強い輝きを与えた。連勝したル・マンから手を引いても、それを補完する以上のイメージの醸成に貢献した。BMWがM社で築き上げてきたものと同様な訴求力を、短期間に構築することを可能とした。
このR8 GT RWDは、過去最もパワフルな後輪駆動のアウディとなる。最後を飾るにふさわしい、多くの技術的なアップデートが施されている。トルク・リアと呼ばれる、ドリフトを楽しめる最新のドライブモードもその1つだ。
四輪駆動と同等の620psと57.5kg-m
エンジンは、これまでのR8と同じく自然吸気の5.2L V型10気筒。制御ソフトウエアに変更を受け、四輪駆動のR8 V10プラスと同等になる620psの最高出力と、57.5kg-mの最大トルクが与えられている。
その結果得られる動力性能は注目に値する。0-100km/h加速は3.4秒を達成し、R8 V10パフォーマンスRWDより0.3秒短縮。猛烈な加速のポルシェ911 ターボSより0.5秒ほど遅れを取るとはいえ、遅く感じることはないはず。
しかも自然吸気のV10だから、サウンドは個性的で開放的。ターボがノイズを吸収してしまうポルシェ911を、聴き応えでは圧倒する。
一層クイックでアグレッシブなシフトダウンを実現させるため、7速デュアルクラッチ・オートマティックのソフトウエアも改変。より高い回転域から、低いギアを選べるようになった。
3速から7速の間では、ギア比が僅かにショート側に振り直された。連続するコーナーでの鋭い操縦性を引き出しつつ、V10エンジンの美声を響かせやすい。
ボディに与えられたエアロキットも新デザイン。GT3レーシングカーさながらの、スワンネックで支えられるカーボンファイバー製リアウイングやディフューザー、フロントサイドのカナードなどが装備されている。
見た目だけでなく、風洞実験でしっかり機能も確認済み。320km/hの最高速度で300kgのダウンフォースを生成するという。これは、通常のR8 V10パフォーマンスRWDより155kgも大きいそうだ。