新型日産セレナ 6年ぶりフルモデルチェンジ第6世代に 日産の「売れっ子」歩んだ30年

公開 : 2022.11.28 14:00  更新 : 2022.11.29 19:50

日産セレナがフルモデルチェンジ。商用バンから始まった日産の売れっ子モデルの歩んだ約30年を振り返ります。

第6世代となる新型セレナ登場

日産は、フルモデルチェンジをおこなった第6世代のセレナを発表した。ガソリン車は今冬、ハイブリッドであるeパワー車は来春に発売する。

新型セレナは、初代から続く「広い室内空間」、「優れた使い勝手」という特性を磨きあげ、最先端技術の採用などを通じて、移動時のさらなる快適性を磨いたことが特徴となる。

第6世代となった日産セレナ。発表会はミュージカル形式で進行された。
第6世代となった日産セレナ。発表会はミュージカル形式で進行された。    日産

最先端技術の採用としてのトピックは、ハンズオフ機能を備えた先進運転支援技術「プロパイロット2.0」の採用だ。

また、リモコンを使って車外から駐車を操作する「プロパイロット・リモート・パーキング」も採用されている。

さらに、ハイブリッドのeパワーは排気量を1.2Lから1.4Lに拡大し、モーター出力も高めた第2世代を搭載。燃費性能を高めるだけでなく、滑らかでパワフルな走り、制御の工夫による静粛性アップなどを実現している。

広い室内&使い勝手の向上という意味では、電制シフトをスイッチタイプとすることで、運転席の足元まわりを拡大。

シートスライド機構を3列目まで全席に拡大。eパワー車でも2列目シート3人掛けの8人乗車を実現。

また、eパワー車では100VAC電源(1500W)をオプションで用意している。

快適性という意味では、クルマ酔い防止のための工夫を数多く採用した。

パワートレインやサスペンション、シートを工夫することで乗員の頭の揺れを抑制。後席での前方視界を広げ、天井モニターの位置を最適化することで、モニターを見ながらも外の景色が目に入るようにして、クルマ酔い予防を目指している。

「BIG」、「EASY」、「FUN」というセレナの伝統を踏襲しつつ、新たな技術と快適さをプラスしたのが新世代のセレナといえるだろう。

日産自動車の執行役副社長、星野朝子は「納期が長く掛かる大変心苦しい昨今ではありますが、納車された暁には、日産車で良かったと言ってもらえるよう最大限努力します」と述べた。

価格はeパワーが319万8800円〜479万8200円、内燃機関モデルが276万8700円〜326万9200円となる。

商用バンからの決別 初代セレナ

セレナが誕生したのは1991年6月6日。バネット・セレナの名称で世に送り出された。

バネットとは、1978年のサニー・バネット/チェリー・バネットに始まり、現在のNV200バネットにまで続く、日産のコンパクト商用バンに使われる伝統の名称だ。そのバネットの流れの中、バネット・セレナが生み出されたのだ。

日産バネット・セレナ2WD FX
日産バネット・セレナ2WD FX    日産

そんなセレナ(バネット・セレナ)の特徴は、「乗る人すべてに、楽しさ、快適さを提供する新世代のファミリービークル」を目標にしていることだ。

エンジンを車体中央に置くミドシップレイアウトを採用することで、前後重量配分を大幅に改良。快適性、走行安定性も高めていたのだ。

商用車のバネットバンも兄弟車に存在するが、最初から乗用目的を主眼に開発されていたのだ。

その前の世代まではバネットを名乗り、1978年より続く商用バンというイメージが強かった。セレナという名称を与えられたのは、商用ではなくファミリービークルを指向することを内外に示すのが目的だといえるだろう。

また、初代セレナは、特別仕様車「アーバンリゾート」や「キタキツネ」、そして今に続く「ハイウェイスター」などを世に送り出し、商用ではない、新しいファミリー向けミニバンの価値観を生み出していったことも特筆すべき点だろう。

そして、1994年5月のマイナーチェンジで、名称からバネットの文字が廃され、正式にセレナは独立モデルとしての歴史を歩み始める。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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