タイムレスなデザイン アウディTT(初代) 英国版中古車ガイド 最速はクワトロ・スポーツ

公開 : 2022.12.09 08:25

美しい曲線に包まれた、上品な初代アウディTT。今でも魅力的なクーペとロードスターを、英国編集部が振り返ります。

タイムレスなボディに上品なインテリア

アウディTTスポーツカーと呼べるだろうか。クルマ好きの間では、意見が分かれるかもしれない。いずれにせよ、魅力的なクーペであることは間違いない。

初代アウディTTが発売されたのは1998年。続く1999年には、オープンボディのロードスターも追加された。当時はとてもスタイリッシュに見えたが、今でもデザインは古びていないと思う。

アウディTT(初代/1998〜2006年/英国仕様)
アウディTT(初代/1998〜2006年/英国仕様)

シンプルでタイムレスなボディに、上品でスポーティなインテリアが組み合わされていた。4代目フォルクスワーゲン・ゴルフとメカニズムを共有し、前輪駆動か四輪駆動の駆動方式が選べた。

古いスポーツクーペなら後輪駆動が良いとお考えかもしれないが、アウディだから四輪駆動も悪くない。コンパクトなボディに不満ない動力性能が組み合わされ、郊外のカーブが連続する道を爽快に駆け抜けられる。

当初のTTは1.8L直列4気筒ターボの四輪駆動のみで、最高出力は180psか225psに設定されていた。2003年には150psで前輪駆動のTT ロードスターが、2004年には180psで前輪駆動のクーペが追加されている。

特に魅力的だったのは、2003年に登場した3.2 VR6だろう。250psの3.2L V6自然吸気エンジンを搭載し、四輪駆動とフォルクスワーゲン・グループが新開発したデュアルクラッチAT、DSGが組み合わされていた。2004年に6速MT版も加わっている。

初代TTで最速なクワトロ・スポーツ

2005年には、TT クワトロ・スポーツ(QS)が登場。240psの1.8L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、軽量なレカロシートが2脚だけの2シーターだった。ルーフがブラックに塗られたツートーン・ボディで、差別化も図られていた。

このクワトロ・スポーツは初代TTとしては最も軽量で速く、0-100km/h加速を5.9秒でこなす。英国で販売されたのは800台のみで、近年はネオクラシックとして注目が高まりつつある。日本には150台が入っている。

アウディTT(初代/1998〜2006年/英国仕様)
アウディTT(初代/1998〜2006年/英国仕様)

モデル末期の2005年になると、150ps仕様が163psへ、180ps仕様は189psへパワーアップ。2006年に2代目へバトンタッチしている。現行型のTTは3代目だが、惜しくもモデル自体が終了する予定にある。

TTは伝統的なフロントエンジン・リアドライブではなく、スポーツカーとは呼びにくいかもしれない。しかし、速そうなな見た目と不足ないパワーを備え、特にクワトロ・スポーツならスポーツカーとして充分楽しめる。人それぞれ、感じ方は異なって構わない。

車重が1400kgを大きく超える3.2 VR6は、4気筒エンジンのTTほど敏捷な身のこなしは発揮できないが、長距離を高速で移動するグランドツアラー側の性格にある。パワフルでスムーズで、長時間の運転も楽にこなせる。

四輪駆動のTTなら、季節を問わないクーペとして今でも活躍できる。カーデザインの傑作に、改めて夢中になるのも悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事