どうなる新車販売? 3か月連続プラスも、増産は「見通しが立たない」 11月のレポート

公開 : 2022.12.04 18:15

2022年11月の新車販売レポートです。トヨタの生産体制が不安定ななか、全体では3か月連続のプラス。登録車はホンダ、軽はダイハツが、販売を伸ばしました。

登録車 トヨタは減 ホンダは増

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

半導体など部品の供給不足による生産調整や、それに伴う一部車種の受注中止は続いているものの、その影響は徐々に軽減しつつある日本の自動車業界。

2022年11月の国内新車販売市場は、その流れが数字となって示された。

前年比プラスを記録したホンダは、ヴェゼル、フィット、Nシリーズを生産する鈴鹿製作所の稼働率が、11月~12月上旬は「通常稼働」まで持ち直した。写真は、マイナーチェンジしたフィットの「e:HEVクロスター(フィヨルドミスト・パール)」
前年比プラスを記録したホンダは、ヴェゼル、フィット、Nシリーズを生産する鈴鹿製作所の稼働率が、11月~12月上旬は「通常稼働」まで持ち直した。写真は、マイナーチェンジしたフィットの「e:HEVクロスター(フィヨルドミスト・パール)」    前田惠介

11月の登録車の新車販売台数は、前年同月比1.0%増(22万1541台)と3か月連続のプラス。

一方、11月の軽自動車の国内新車販売台数は、同16.8%増(15万5538台)と3か月連続のプラスとなる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は同7.0%増(37万7079台)と、3か月連続での前年実績超えを成し遂げた(自販連/全軽自協の速報値)。

登録車の11月のブランド別新車販売台数では、部品の調達不足の影響が出たトヨタが前年同月比4.5%減(10万5321台)。

スバルが同0.6%減(7426台)、ダイハツが同35.6%減(3428台)、レクサスが同18.0%減(2654台)と低迷。

一方、ホンダは同6.5%増(2万5948台)、日産は同1.9%増(2万2177台)、スズキは同22.8%増(9762台)、マツダは同14.2%増(9035台)、三菱は同51.1%増(3310台)と前年実績超えを達成した。

また、貨物車のブランドはエンジン性能試験の不正問題の影響が残る日野が53.3%減(2289台)と苦戦したものの、いすゞは同16.1%増(4181台)、三菱ふそうは同30.4%増(2378台)、UDトラックスは同16.3%増(985台)とプラスを記録した。

軽はダイハツが1位 業界の声は?

軽自動車の11月のブランド別新車販売台数では、前年同月比28.3%増(5万6753台)を達成したダイハツが、3か月連続でのシェアトップを獲得。

最大のライバルのスズキは、同14.3%増(4万8401台)を成し遂げたものの8000台以上の差で第2位に甘んじた。

改良新型タント・シリーズが好調なダイハツ。それでも仕入先からの部品供給不足により、11月30日~12月2日は滋賀 第2工場(ロッキー/タントを生産)の稼働を停止。写真は、新車種のタント・ファンクロスだ。
改良新型タント・シリーズが好調なダイハツ。それでも仕入先からの部品供給不足により、11月30日~12月2日は滋賀 第2工場(ロッキー/タントを生産)の稼働を停止。写真は、新車種のタント・ファンクロスだ。    AUTOCAR JAPAN

また、ホンダは同11.4%増(2万5655台)、日産は同2.7%増(1万4766台)、三菱は同38.7%増(3502台)とプラスを記録する。

一方、OEM供給を受けるブランドではマツダが同1.2%増(2832台)、スバルが同50.4%増(1633台)を達成。対してトヨタは同29.0%減(1985台)と低迷した。

「受注残を解消し切れない」

11月の新車販売の動きについて業界団体の関係者は、「前年11月の新車販売台数が35万2455台と低調だったこともあって、本年11月は前年同月比7.0%増を記録して3か月連続でのプラスを成し遂げた。ただし、新型コロナウイルス感染拡大当初の2020年11月の41万1601台には及ばず、また前月の28.6%増、前々月の24.1%増と比べると伸び率は鈍化している」

「生産調整の期間は縮小したものの、半導体など部品の供給不足は長引いており、その結果、新型車や人気車の受注残を解消し切れない状況が続いている」と指摘する。

今後に関しては、「需要は新型車を中心に堅調で、また年末から年初にかけて多くの受注を獲得しそうな新型車や特別仕様車が各ブランドから発売される予定。さらに、前年同期の販売台数が低迷していたため、来月以降も前年実績超えを果たす公算は大きい」

「生産調整は今後も一部で発生する見込みだが、海外を含めたサプライチェーンは改善しつつある。一方で懸念材料としては、依然として続く半導体不足やウクライナ情勢に伴う原材料の供給不足および価格高騰、中国のゼロコロナ政策による一部地区の封鎖、そして新型コロナウイルスの感染者数の再拡大などが挙げられる。受注残の早期の解消が図られる増産体制の実現は、まだ見通しが立たない」と分析した。

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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