航続距離450km マセラティ・グラントゥーリズモ 灼熱のEV仕様、2023年後半に発売予定

公開 : 2022.12.07 06:25

2代目となるマセラティ・グラントゥーリズモのEV仕様「フォルゴーレ」では、93kWhバッテリーで航続距離450kmを実現するとのこと(WLTPサイクル)。750馬力以上を発揮する高性能の電動GTです。

パフォーマンス重視の電動GT

マセラティは、2代目となる新型グラントゥーリズモのEV仕様「フォルゴーレ」の公称航続距離を発表した。WLTPサイクルで450kmとされている。

グラントゥーリズモ・フォルゴーレは、最高出力755ps以上、最大トルク138kg-mを発揮し、0-100km/h加速はわずか2.7秒を謳う。マセラティが満を持して送り出すポルシェタイカンへの対抗馬である。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ    マセラティ

93kWhのT型バッテリーと3基の自社製モーター(フロントに1基、リアに2基)を搭載。バッテリーは重量配分(EV仕様では50:50)と重心を最適化するために中央の低い位置に配置される予定だ。充電は最大270kWまで対応し、市販EVの中で最も充電が速いモデルの1つとなっている。

ICE仕様ではツインターボ3.0L V6エンジンを採用。フロントアクスルのすぐ後ろに搭載し、その他ドライブトレインはEV駆動用バッテリーのスペースを利用している。フォルゴーレの車重は2260kg、V6は1795kg(先代の最も軽量なMC仕様より78kg軽い)。

マセラティのグローバルプロダクト責任者であるマッシモ・カパルディは、グラントゥーリズモ・フォルゴーレでまったく新しい顧客層の呼び込みを期待していると語った。

マセラティは、2025年までに電動車ラインナップを一通り完成させる計画で、これはフラッグシップスーパーカーであるMC20も例外ではない。

情熱的な3.0L V6エンジンも設定

しかし、カパルディはAUTOCARに対し、「ブランドの柱」であるグラントゥーリズモについて、まだ完全に内燃機関を諦める準備ができていないと述べた。そのため、デチューンされたとはいえ、MC20と同じ3.0L V6エンジンを搭載したICE仕様が導入されたという。

最上位のトロフェオでは最高出力558ps、最大トルク66kg-m、0-100km/h加速3.5秒を誇り、価格はEV仕様より5万ポンド(約800万円)ほど安く設定される見込み。

マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ
マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレ    マセラティ

EV仕様との外観上の違いは少ないが、フロントバンパーの形状やエグゾーストパイプの有無で見分けることができる。また、リアモーターの搭載スペースの関係で、ICE仕様の方がトランクが広くなっている。

最も大きな違いはサウンドだろう。フォルゴーレは車外と車内にスピーカーを搭載し、電気モーターとV8エンジンを融合させたような「ユニーク」なサウンドトラックを奏でるとのこと。「他に類を見ない、新しいコンセプトです」と、チーフエンジニアのダヴィデ・ダネシンは語る。

しかし、ダネシンが最も自信を持って紹介する機能は、どんなドライバーでも車両性能を最大限に発揮できるようにするVDCM(ビークル・ドメイン・コントロール・モジュール)である。自社開発されたこのモジュールは、選択したドライブモードに応じて電子制御のサポートレベルを調整できる。

「どんなスキルレベルでも、システムに(すべての性能を使いこなすための)手助けをさせることができるのです」とダネシン。

このように中身は大きく変わったが、新型グラントゥーリズモの姿は2019年に幕を閉じた先代モデルとよく似ている。エンジンレスのフォルゴーレでも、流麗なロングボンネットとキャブバックのスタンスは変わらず、フロントとリアエンドに施された新しいスタイリングによって、マセラティ最新世代のデザインに仕上がっている。

インテリアはもっと劇的な変化を遂げるだろう。マセラティは来年早々にも詳細を公開する見通しだが、AUTOCARが入手した情報によると、小径のステアリングホイール、12.0インチのデジタルメーターディスプレイ、2枚のセンターディスプレイ(エンターテインメント用と快適機能用)、シフトボタンなどが採用されるようだ。

新型グラントゥーリズモのICE仕様は2023年前半に、EV仕様は同年後半に欧州で発売される予定。マセラティによれば、初期限定モデルのファースト・エディションは、すでに「高い人気」を集めているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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