ランボルギーニのEV いかにして「夢」を守るのか? 電動化時代の責任とは

公開 : 2022.12.07 19:05

ランボルギーニに長年在籍しているステファン・ヴィンケルマンCEOに独占インタビュー。顧客の「夢」を壊すことなく、いかにEVへ移行していくのか。また、現代におけるランボルギーニの「社会的責任」とは。

夢を壊すことなく、新しい世界へ

イタリアのスーパーカーメーカー、ランボルギーニを率いるステファン・ヴィンケルマンCEOは、「顧客の夢を壊すことなく」、今後10年以内に「新しい世界秩序」に移行する必要があると述べている。

2005年から2016年までランボルギーニの社長兼CEOを勤めた後、2020年に再びCEOに就任したドイツ人のヴィンケルマン氏。同社最後の純内燃機関モデルを監督するなど、大きな変革を指揮する人物である。

11年に渡る任期の後、再びCEOを務めることになったステファン・ヴィンケルマン氏。
11年に渡る任期の後、再びCEOを務めることになったステファン・ヴィンケルマン氏。

AUTOCAR英国編集部は、ヴィンケルマンCEOにインタビューを行い、彼の”ToDo”リスト、世界的な不況下でのあり方、そして電動化時代へ向けた将来の計画について話を聞いた。

――長い間ランボルギーニに在籍した後、2016年から2020年まで同社から退いていましたね。戻ってきた今、ランボルギーニは故郷のように感じますか?

「会社に長くいればいるほど、親近感が湧くものです。ランボルギーニの場合は、一目惚れでした。ブランド、製品、戦略を、結果が目に見える形で開発することができ、インプットとアウトプットがよく見えるのです。これは、自信を与えてくれる場合もあれば、そうでない場合もありますが、努力する価値を与えてくれます。ランボルギーニは魅力的なんですよ」

――ランボルギーニに100%集中できる今の体制についてはどう思われますか?(ブガッティの社長と兼任していた時期がある)

「ブガッティは素晴らしい経験でした。宝石のようなブランドです。わたしの考えでは、ブガッティはブランドとモデルラインナップにとって重要なことをいくつか始めたばかりだと思います。次にやることすべてが、このブランドを大切にし続けるものであってほしいと願っていますが、わたしが今いるのはランボルギーニです。この仕事が好きですし、他の場所に行きたいとは思いません」

――あなたのToDoリストには何が残っていますか?

「目の前にある最も努力すべき仕事は、顧客の夢を壊すことなく、旧世界から新世界へ移行することです。2030年代の初めまで、10年間にわたる仕事です。成し遂げなければなりません」

電動化時代におけるスーパーカー

――ランボルギーニにとって、電動化とはどのようなものですか?

「わたし達は、モビリティではなく、夢を売っています。だから、夢を持ち続けなければならないし、クルマは性能重視であるという約束を守り続けなければなりません。そして、縦方向の加速度や数字だけでなく、挙動や横方向の加速度も重要です。これは、新しい世代のお客様がこのような世界に足を踏み入れ、10年、20年前よりも受け入れていることと密接に関係していると思います」

――電動化の時代が近づいた今、ランボルギーニはどこに焦点を当てているのでしょうか?

「わたしの頭の中には4つの柱があります。まず、”デザイン”と”パフォーマンス”、これらは常に実践してきたことです。もう1つは、”知覚される性能”。つまり、人がどう感じるか、どう関与しているかということです。最後の1つは、”音”です。これが一番難しい。これからどうなっていくかはわかりません。簡単には言えませんが、今日とは違うものになるでしょう」

新型ウラカン・ステラートは、同社最後の純エンジン車となる。
新型ウラカン・ステラートは、同社最後の純エンジン車となる。

「”知覚される性能”については、すでに取り組んでいるところです。横方向の加速度や、マシンとドライバーの繋がり方を改善するために、ソフトウェアが大きな役割を果たすと考えています。成功のために最も重要なことです」

――ランボルギーニのラインナップに、ポルシェタイカンのライバルを迎え入れる余地はありますか?

「まあ、そのモデルについては、2+2のGTという発想になるでしょうね。新しいボディスタイル、新しいデザインアプローチになると思いますが、それでも本物のランボルギーニであることに変わりはありません」

――アウディがV10エンジンに別れを告げました。結果として、ウラカンの後継モデルはどう変わるのでしょうか?

「(現行のウラカンとの)違いはデザインだけでなく、パワートレインの面でも大きな違いがあります。ハイブリッドシステムを搭載し、エンジンはまったく新しいものになります。しかし、何気筒かはまだ明らかにできません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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