アルピーヌ、F1チームへの出資募る 市販車の開発資金か 売却は否定

公開 : 2022.12.15 19:25

AUTOCARが入手した情報によると、アルピーヌはグローバル展開のためにF1チームへの出資を募っているとのことです。A110の後継モデルなど、次世代車の開発に充てられる見込みです。

F1チームで資金調達 市販車の開発加速へ

アルピーヌは、市販車開発を急ぐためにF1チームへの出資を求めている。AUTOCARの取材で明らかになった。

現在、アルピーヌは欧州市場を中心に単一モデルを販売しているが、今後はラインナップを増やし、アジアや北米市場などグローバル展開を強化していく。

AUTOCARが入手した情報によると、アルピーヌは市販車開発の資金調達のためにF1チームへの出資を募っているという。
AUTOCARが入手した情報によると、アルピーヌは市販車開発の資金調達のためにF1チームへの出資を募っているという。

2026年までに、A110の後継となる電動スポーツカーや、ルノー5をベースとするハッチバック、スポーツクロスオーバーを発売する予定だ。先月にはD~Eセグメントの高級スポーツカーを発売する計画も示されている。

中・大型車は、アルピーヌの本拠地である欧州以外の地域、特に北米と中国でのシェア獲得を目的としているようだ。アルピーヌは投資家に対し、新型車の開発資金の援助だけでなく、戦略的パートナーとなって新しい地域での迅速な足場固めを期待していると思われる。

アルピーヌのローラン・ロッシCEOは以前、グローバル展開規模を「4~5倍」に拡大することを表明しているが、そのコスト負担は非常に大きい。

このため、同様にネットワークと販売台数の拡大を計画しているロータスや、最近ルノーと合弁会社を設立したジーリー(吉利)との取引の見通しが立っている。ロータスとはすでにA110後継モデルの共同開発を進めているほか、「両社の技術力を組み合わせた共同サービスの開発」についても模索中だ。

さらに、アルピーヌとロータスは昨年、「F1から耐久レースまでカバーするアルピーヌのモータースポーツ・プラットフォームを活用した協業」を行うとも述べている。モータースポーツの最高峰と言われるF1での活動には、ロータスやその親会社であるジーリーも関心を寄せているようだ。

しかし、アルピーヌとロータスがどのようにF1チームを共同運営(ブランド化)していくかが明確でないことから、両社がこの取引を結ぶと仮定するのはまだ早い。とはいえ、取引が成立すればジーリーはF1への足がかりを得ることになり、将来的にはチームを買収する可能性もある。

チーム売却の可能性は否定

AUTOCARの情報筋によると、アルピーヌは、ロータスのような自動車メーカーからF1に期待する投資家に至るまで、あらゆる関係者からの出資を受け付けているという。マーケティングの観点と、最近のF1コストキャップによって、F1チームの価値は高まっているようだ。投資家との話し合いはすでに始まったと考えられている。

アルピーヌの関係者は、同社が求めているのはF1チームの株式と引き換えにした資金調達だけであるとし、市販車部門およびF1チームの売却は否定している。

A110の後継にあたるスポーツカーやハッチバック、クロスオーバーなど、計画中のモデルは多岐にわたる。
A110の後継にあたるスポーツカーやハッチバック、クロスオーバーなど、計画中のモデルは多岐にわたる。

複数の関係者がF1チームを所有している例はある。自動車メーカー、化学会社、チーム代表のトト・ウォルフが等しく共同所有しているメルセデスAMGが最も有名な例であろう。

アルピーヌがF1チームの株式を売却する可能性が最初に示唆されたのは、ルノー・グループが先月開催したイベント「キャピタル・マーケット・デイ(CMD)」で、アルピーヌについては次のように語られた。

「アルピーヌは、商業的パートナーシップと投資家の支援を活用し、将来の成長の半分を欧州以外の地域で実現し、グローバルに展開する予定です。アルピーヌは、F1チーム資産の財務的評価の活用に前向きです」

その意味を問われたルノー・グループは、こう述べている。

「CMDで示されたアルピーヌのロードマップは、ルノー・グループが資金を提供し、商業パートナーや投資家にアクセスしてグローバル展開を加速させるという計画です」

2022年シーズンのF1コンストラクターズ選手権で、アルピーヌはマクラーレンを抑えて4位についている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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