飲酒運転させない! アルコール検知器の義務化、782万人の白ナンバードライバーをどう管理する?
公開 : 2022.12.23 19:15
酒気帯び・酒酔い運転を食い止める「アルコール検知器」。白ナンバーの事業者にも義務化が迫っています。2種のセンサーの違い、使い方を取材しました。
延期を乗り越えて 検知器「義務化」のいま
後を絶たぬ飲酒運転の撲滅へ向け、2022年(令和4年)4月より安全運転管理者による運転者に対する運転前後のアルコールチェックが「義務化」されている。
これまでアルコール検査は、運送業など「緑ナンバー」車を使う事業所に義務づけられていたが、一定の台数があれば「白ナンバー」車を使う事業所にも対象が拡大されたのだ。
新たに対象となったのは、白ナンバーの社用車を5台以上、または11人以上の定員の自動車を1台以上持つ事業所で、運転指導などを行う「安全運転管理者」を選任しなければならなくなった。
警察庁によると、安全運転管理者を選任して警察に届け出ている白ナンバーの事業所は全国に約34万、対象ドライバーは約782万人にのぼるという。
運転管理者は運転前後のドライバーの状態を目視などで確認した上で、酒気帯びの有無を記録して1年間保存しなければならないのだ。
さらに今後は、アルコール検知器によるチェックも義務付けられる見込みとなっている。
本来なら今年10月から義務化されることになっていたが、昨今の半導体不足の影響を受け、検知器が事業者に行き渡らないことが判明。これに伴って警察庁は、当面の間、義務化の時期を延期すると発表した。
ただ、これは検知器の義務化が中止になったことを意味するのではなく、今後の状況を考慮しながらいずれ施行されることに変わりはない。
そんな背景の下、積極的にアルコール検知器を展開しているのがJVCケンウッドだ。同社は2020年11月に半導体式ガスセンサーを搭載した「CAX-AD100」を発売していたが、22年8月には電気化学式ガスセンサーを搭載したハイグレードモデル「CAX-AD300」を追加した。
この2台体制でアルコール検知器の幅広い普及を目指す。
2つのセンサー、違いは? 性能/寿命/価格
ここで気になるのは、「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式ガスセンサー」の違いだろう。
前者は測定までの時間が短く、機材価格も安いというメリットがある一方で、センサーがアルコールに近い成分に反応してしまうこともあるなどアルコールを摂取していないのに反応してしまうケースがある。
対して後者は、それに比べて検知性能が高く長寿命(1年または1万回・半導体式ガスセンサーの約2倍)というメリットがあり、検知器としての信頼性は高い。ただ、機材価格はどうしても高くなってしまう。
実際、カカクコムで販売価格を調べると、CAX-AD300は3万8200円で、CAX-AD100が1万1000円台~と4倍近い価格差がある(12月21日調べ)。
この価格差がつく理由としては、一つは電気化学式ガスセンサーそのものが高価であるという事情もあるが、CAX-AD300ではスマートフォン連携を実現していることも大きい。
これは測定結果を管理者のPCに送信して検査結果を記録・管理できるもので、スマホとの連携はBluetoothによって行われる。具体的には、運転者のアルコール濃度を測定した後、その測定結果と測定者情報はスマホの通信機能を使用して管理者用PCへメール送信されるというものだ。
見逃せないのは、この対応が「なりすまし防止」を目的として役立つことだ。