マセラティの切り札、グレカーレ試乗 1000万円切りの新型SUV 魅力は価格だけじゃなかった!

公開 : 2022.12.27 06:25

マセラティ・グレカーレを試乗レポート。800万円台~という戦略価格で、日本の高級SUV市場を戦います。レヴァンテで乗り比べましょう。

800万円台 本気の日本導入

マセラティの伝統である風の名前、具体的には“地中海の北東風”を意味するイタリア語を与えられたグレカーレを、日本の道でドライブする機会が訪れた。

このブランドにとってレヴァンテ(こちらは地中海の東風)に続く2台目のSUVになったグレカーレは、2022年3月に欧州で発表された。すると翌月には早くも日本に上陸し、各地で巡回展示され、5月には価格を発表するとともに受注を開始した。

マセラティ・グレカーレGT(ブロンゾ・オパーコ)
マセラティ・グレカーレGT(ブロンゾ・オパーコ)    神村聖

デリバリーは2023年初春とのことだが、最近の輸入車としては異例に早いペースだ。

レヴァンテより小柄で、マセラティでは唯一1000万円以下で買え、しかもSUV。インポーターのこのクルマに賭ける意気込みが伝わってくる。

グレカーレとレヴァンテは、ともにイタリアで作られる。

「レヴァンテ」とどう違う?

ただし生産拠点はレヴァンテがトリノのミラフィオーリなのに対し、グレカーレはローマとナポリの中間にあるカッシーノとなる。アルファ・ロメオジュリアやステルヴィオと同じだ。

つまりプラットフォームは、レヴァンテがギブリと共通なのに対して、グレカーレはステルヴィオと共用となる。

同日に試乗したマセラティ・レヴァンテGT(グリジオ・エヴォルツィオーネ)。
同日に試乗したマセラティ・レヴァンテGT(グリジオ・エヴォルツィオーネ)。    神村聖

ただしパワーユニットはマセラティ独自で、GTとモデナには2L直列4気筒ターボのマイルドハイブリッド、トロフェオには3L V型6気筒ツインターボが、8速ATとともに搭載され、4輪を駆動する。

レヴァンテと違うのは、マイルドハイブリッドが330ps版に加え、300ps版も用意されることだ。

マセラティとしてはコンパクトなSUVであることを実感してもらいたいということで、試乗は東京都心で、レヴァンテと乗り比べで行われた。グレードはどちらも、マイルドハイブリッドのGTだ。

サイズ/デザインのポイント

グレカーレのボディサイズは全長4846mm×全幅1948mm×全高1670mmで、たしかに5020×1985×1680mmのレヴァンテと比べると小柄だが、およそ100mm短いとはいえ2901mmに達するホイールベースを含めて、日本の道ではコンパクトとは言い難い。

それでも違いがあると感じるのは、スタイリングの効果が大きい。

マセラティ・グレカーレGT(ブロンゾ・オパーコ)
マセラティ・グレカーレGT(ブロンゾ・オパーコ)    神村聖

とりわけ顔つきは、グリルの丈はレヴァンテより短く、ヘッドランプの形状を含めて、親しみやすい表情になっている。

ボディサイドは、サイドウインドウが6ライトではないこと、パネルの張り出しが控えめであることなどに気づく。

リアはコンビランプの端から斜め下に流れるラインが特徴で、かつて自分も愛車にした3200GTがモチーフだそうだ。

インテリアはエクステリア以上に、レヴァンテと違う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事