このクルマ、覚えてる? 消えた名車「三菱シャリオ(グランディス)」 系譜をたどる
公開 : 2022.12.30 11:45
三菱のミニバンといえば唯一無二の「デリカD:5」が有名。そんな三菱にも「シャリオ」というミニバンがあったことをご存知でしょうか。歴史を振り返ります。
名車の血統 三菱シャリオ
2022年はトヨタからクロスオーバーモデルのクラウンが発売され、マツダからは新SUVのCX-60が発売されるなど、新たなモデルも登場。ミニバンのノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナも揃ってフルモデルチェンジし話題を呼んだ。
そのような明るい話題の一方で、セドリック・グロリアの後継モデルとなるフーガ、伝統のあるマーチ国内向けモデルの販売終了や、三菱を支えたコンパクトカー「ミラージュ」の販売終了も発表された。
一方で、フルモデルチェンジせずとも長きにわたり愛されるデリカD:5のようなモデルも存在。
現在、三菱のミニバンといえば、唯一無二のオールラウンドミニバン「デリカD:5」だが、三菱にはもう1台ミニバンの名車「シャリオ(グランディス)」があったことをご存知だろうか。
今回はそんな「シャリオ(グランディス)」の歴史を振り返る。
初代シャリオ ミニバンの先駆
1979年東京モーターショーにおいてFF方式の3列シート7人乗り乗用車、三菱SSW(スーパースペースワゴン)を参考出品したところ、大きな話題を呼んだ。
これを受けて、SSWよりもひと回りサイズアップし、セダンの運転感覚とキャブオーバーワゴンの優れた居住性をあわせ持ったクルマとして、1983年2月にミニバンの先駆の1台となった初代シャリオが発売された。
古代戦士のように誇り高く、行動力あふれるクルマの意味を込めて、フランス語で古代ギリシャの戦闘二輪馬車から命名された。
開放感たっぷりの室内をいかし、2列目と3列目のシートを向かいあわせるシートバック反転機構、フルフラットシートなど多彩なシートアレンジを実現したほか、オーバーヘッドオーディオをオプション設定するなど、新ジャンルのクルマにふさわしいユニークなアイデアをふんだんに盛り込んだ。
また、翌84年6月には2L 4WD車を発売。
2WD、4WDの切り換えができるパートタイム方式で、その切り換えをプッシュボタン式として運転操作を容易にした。
続いて、10月にはディーゼルターボ車を追加。また11月には本格的なスキー仕様車「シャリオ・ロス・アンデス」を発売し、多目的車にふさわしい多彩な仕様展開が図られた。
2代目 セダンより自由、ワゴンより自在
2代目が発売された当時、生活意識やレジャーの多様化などにより、クルマに対するニーズも大きく変わってきていた。
それはRVやワゴンとは違うセダンらしい品質感・用途を求めながら、既存のセダンの室内空間・機能・用途では物足りないとする需要。
2代目シャリオは市場ニーズを把握し、「セダンより自由、ワゴンより自在な空間・機能・用途の乗用車」をめざしてフルモデルチェンジし、1991年5月に発売された。
3列シートのコンセプトを継承しつつ、初代に比べてひとまわり大きくなったセミトールキャビンとロングホイールベースで、7人がさらにゆったり乗れる広い室内空間を確保。
広いガラスエリアが、ゆとりある室内に一層の開放感をもたらした。
上質な生地を採用したシートは、12通り以上の多彩なシートアレンジを可能とし、10か所にもおよぶ収納や大風量ベンチレーションなど、装備も充実していた。
エクステリアデザインは、新感覚の2トーンボディカラーで、Cピラーを境に前後にキャビンを設けたダブルキャノピースタイルを採用。
エンジンには、2.0Lが搭載され、多人数乗車でも余裕のある走りを実現した。