実はジャンボと同期生 ランドローバー・レンジローバーとボーイング747 生産終了を記念 後編

公開 : 2023.01.07 09:46

2022年12月に生産を終えた、通称ジャンボジェット。それを記念し、実は同期生のクラシックレンジで英編集部は空港へ走りました。

スタイリングは紛うことなきレンジローバー

ランドローバー・レンジローバーのオンロード性能を担保したのが、前後に採用されたコイルスプリングによるサスペンション。初代ランドローバー、ディフェンダーリーフスプリングとは一線を画していた。

ボンネットに収まったのは、ビュイックのユニットから派生した3.5LのV型8気筒ガソリンエンジン。オンロードでの洗練性と、オフロードでの力強さとを兼ね備えていた。

ホワイトの初代ランドローバー・レンジローバーとブラックの5代目
ホワイトの初代ランドローバー・レンジローバーとブラックの5代目

郊外の農村での暮らしにも使え、ロンドンの市街地にも馴染めるという、当初のロードローバーのコンセプトは維持されていた。最新版は、かなり市街地寄りではあるが。

今回われわれが用意したのは、最も初期型に当たるランドローバー・レンジローバー。開発車両として26台が作られたプロトタイプ、ヴェラールの1台となり、シャシー番号で数えると5番目に作られたクルマだ。

オーナーはクリス・エリオット氏で、ランドローバーで信頼性に関わる主任エンジニアを務めてきた。1979年に、ランドローバーから下取りするカタチで購入したという。YVB 155Hというナンバーは昔から変わらない。

もう1台、最新のレンジローバーは5代目。グレートブリテン島の中央、英国では最も古いランドローバーの正規ディーラー、スタージェス・ランドローバーからお借りした。

初代と5代目で、スペック上の共通点は殆どない。強いて挙げれば、V8エンジンを積んでいることくらいだとエリオットと意見を交わす。それでも、スタイリングは紛うことなきレンジローバーだ。

貨物機として機能的なレイアウト

1970年に発売された時、ランドローバーは唯一といえる存在だった。最新型は多くのライバルと対峙することになるが、大型高級SUVのアイコン的な存在として、誰もが認める風格を漂わせる。

2024年には、完全に電気の力で走るバッテリーEV(BEV)版のレンジローバーが登場する予定。内燃エンジンの時代が終わっても、伝統が消えることはないだろう。

ボーイング747-100
ボーイング747-100

航空業界でも電動飛行機の開発が進められる一方で、ジャンボジェットのような4発ジェットエンジンの機体は役目を終える流れにある。エアバスA380も、すでに生産は終了している。

だが、胴体の上に配置されたポッド内にコクピットとファーストクラスをレイアウトするという、747の特徴的なデザインは主要な飛行場で当面は目にすることができるだろう。貨物機として機能的な設計だからだ。

ボーイングは、1970年代には超音速の時代が来ると予見していた。だが、それは行き過ぎた世界だった。アエロスパシアルとBACが開発したコンコルドは、短命に役目を終えた。結果として、747は長く運用されることになった。

筆者はシルクウェイ・ウエスト航空が保有する、16年前に製造された747-400Fのコクピットへお邪魔させていただいた。パイロットを長年勤めているオスカー・シグソーソン氏は、この機体の能力を高く評価している。

同型機は現在12機が就航しているとのこと。大きな機体に反して、コクピットは驚くほど小さい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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