電動化してもV6ミドシップの特徴は残す マセラティMC20フォルゴーレ 初のEVスポーツ
公開 : 2023.01.07 18:05
マセラティが開発中の「MC20フォルゴーレ」は、ミドエンジン車のようなキャラクターを持つ同社初の電動スポーツカーとなります。その大胆な目標について、マセラティCEOがインタビューで語りました。
V6モデルのキャラクターを継承
2024年に登場するマセラティMC20フォルゴーレは、電動スポーツカーの旗手として、ミドエンジン特有のスタイリングとハンドリング、そして圧倒的な加速と卓越したユーザビリティを併せ持つモデルとなる。
マセラティCEOのダヴィデ・グラッソは、AUTOCAR英国編集部のインタビューで、MC20フォルゴーレへの期待と希望を語った。このモデルは、内燃機関の廃止を進めるマセラティが2026年までに発売する6台のEVのうちの1台だ。
何よりもマセラティが目指すのは、既存のV6エンジン搭載のMC20のキャラクターやエンゲージメントを失うことなく、性能を大幅に向上させることだとグラッソCEOは言う。
「EVとICE(内燃機関自動車)とでは、加速の仕方が違います。しかし、ハンドリングの観点からも、スピードの観点からも、EVのMC20はわたし達の知る限り、完全に電動化された最初のスーパースポーツカーになるでしょう」
MC20フォルゴーレはまだ開発段階にあるため、グラッソCEOは、その具体的な性能や技術的な詳細については語らなかった。しかし、新型グラントゥーリズモのV6仕様とEV仕様のキャラクターの違いが、MC20のバリエーションの違いを示す指標になるだろうと述べている。
「グラントゥーリズモのフォルゴーレとICEを運転すれば、MC20のフォルゴーレとICEの違いも感じてもらえると思います」
MC20フォルゴーレは、グラントゥーリズモとSUVのグレカーレに続く、マセラティ3台目のEVとして2024年に発売される予定だ。また、次世代のクアトロポルテとレヴァンテは、当初からEV専用車となることが決まっている。
MC20は、当初からICEとEVの両方を想定していたため、構造的には既存モデルとよく似たものになる。
バッテリーはシート背後へ?
グラントゥーリズモでは、V6エンジンの550psに対しEVは760psと、最高出力が高められている。MC20フォルゴーレの出力がこれと同じであれば、138kg-mという強大なトルクと相まって、発進加速が劇的に向上するはずだ。
しかし、グラントゥーリズモ・フォルゴーレはV6よりも500kg近く重いため、MC20フォルゴーレでも重量増の影響を軽減することが優先課題となっている。グラッソCEOが望むように、既存のICEとダイナミクスと一致させるためには不可欠であろう。
MC20フォルゴーレの駆動方式は、リアに2基、フロントに1基のモーターを搭載し、必要に応じて後輪駆動と四輪駆動を使い分けるトライモーター方式が採用されると予想される。
スタイリングとしては、空力性能を高める対策が施されているものの、外観はICEとほぼ同じになる見通しだ。
以前の予告画像によると、重量配分の最適化と低重心化のために、バッテリーをシート背後に配置することが示唆されている。
ポルシェやロータスは、ICE特有のダイナミクスを維持するために、2シーターの電動スポーツカーに同様のレイアウトを採用している。これにより、見慣れたプロポーションとパッケージングを可能にするという利点もある。
バッテリーは、グラントゥーリズモと同様に270kWの急速充電に対応。83kWhバッテリーを使用すれば、1回の充電で480km以上の航続距離を実現できるだろう。
MC20フォルゴーレには現在、直接のライバルとなるモデルがいない。高出力EVは、ロータス・エヴァイヤやリマック・ネヴェーラなど希少性の高いハイパーカーが占めており、従来のミドエンジン・スーパーカーに相当するEVはまだ実現されていないのである。
フェラーリは2025年に初のEVを発売する計画だが、セグメントやタイプについての詳細はまだ明らかではない。一方、ランボルギーニとマクラーレンのEVは、2+2のグランドツアラーという形で2020年代末に登場する見込みである。ホンダはNSXの後継EVを開発するが、発売時期は未定であり、近日公開予定のアルファ・ロメオの限定生産スーパーカーにはV6エンジンが使用される可能性がある。
グラッソCEOは、マセラティが電動スーパースポーツカー・セグメントのパイオニアとなることに「非常に興奮している」としながらも、「一番手になることではなく、パフォーマンスの面で最高であることも重要」と付け加えた。
画像 新時代のイタリアン・スーパースポーツ【マセラティMC20とグラントゥーリズモ・フォルゴーレを写真で見る】 全59枚