自動車メーカーを危機から救ったクルマ 38選 後編 これがなければ潰れていたかも?
公開 : 2023.01.14 19:05
1つのモデルによって救われた自動車メーカーは、意外と少なくありません。赤字、知名度の低さ、評判の悪さを乗り越えるきっかけとなったクルマを紹介します。このクルマがなければ、今のメーカーはなかったかもしれません。
もくじ
ーフォード・トーラス(1986年)
ーランドローバー・ディスカバリー(1989年)
ーTVRキミーラ(1993年)
ーフォード・モンデオ(1993年)
ーフェラーリF355(1994年)
ーアストン マーティンDB7(1994年)
ーMGF(1995年)
ースコダ・オクタヴィア(1996年)
ーポルシェ・ボクスター(1996年)
ーロータス・エリーゼ(1996年)
ービュイックGL8(2000年)
ーボルボXC90(2002年)
ーベントレー・コンチネンタルGT(2003年)
ーランボルギーニ・ガヤルド(2003年)
ーフィアット500(2007年)
ージャガーXF(2007年)
ー日産キャシュカイ(2007年)
ーシボレー・カマロ(2009年)
ーテスラ・モデルS(2012年)
フォード・トーラス(1986年)
1980年代半ば、フォードの欧州部門は好調だったが、本場の米国市場では一刻も早いヒット作の投入が求められていた。その結果生まれたトーラスは、フォードの出血を食い止めるために、品質に重きを置いて開発されたミドルサイズモデルである。
トーラスはさまざまなボディスタイルと装備を揃えており、購入者の好みに合わせて自由にカスタマイズできたたため、米国のミドルサイズクラスを一気にリードすることになった。また、運転しやすく、経済的で、品質もライバルをはるかにしのぐものだった。初代トーラスは200万台も売れ、1991年に2代目が発売されている。
ランドローバー・ディスカバリー(1989年)
農家や公益事業者向けにオフロード車を販売するニッチな企業になりつつあったランドローバー。日本車や米国車のライバルに押され気味だったが、1989年に発売されたディスカバリーは、エレガントでシンプルなフォルム、家具デザイナーのテレンス・コンランによるキャビン、レンジローバーから借用したシャシーでその苦境を逆転させたのである。
こうした設計は、日常的に使えるクルマとして4WDを求める人たちにもディスカバリーを受け入れられるようにした、名采配といえる。最上位はV8モデルだが、4気筒ターボディーゼルエンジンはランニングコストが安く、総販売台数39万2443台の大半が後者を搭載している。日本では、ホンダ・クロスロード(初代)として販売されたこともある。
TVRキミーラ(1993年)
強大なTVRグリフィスの影に隠れていたキミーラだが、台数としてはグリフィスの3倍を売ったという事実がある。シャシー、エンジン、ドライブトレインの多くを共有しながら、より手頃な価格と広いボディのおかげで実用的であった。TVRのあらゆる販売記録を打ち立て、同社は長らく欠けていた財務的な安定性をようやく手に入れたのである。
キミーラの販売は終始堅調で、その収益はサーヴラウやタスカンの誕生に寄与している。しかし、搭載されたローバーV8エンジンの旧式化を受け、新たなエンジンの自社開発に固執したことが仇となった。TVRは2004年にロシアのニコライ・スモレンスキーに売却されたが、キマイラのような販売は実現しなかった。現在、同社は再生の途にある。
フォード・モンデオ(1993年)
モンデオはフォードにとって大きな賭けであった。全世界に展開することを目指し、セダン、ハッチバック、ワゴンを揃えたモンデオだが、新しい工場設備に莫大な費用がかかったのである。さらに、新しい5速トランスミッションと最新エンジンにも費用がかかり、「あたって砕けるしかない」という状態だった。
歴史的には、モンデオは大ヒット作として記憶されているが、フロントドライブのプラットフォームは、旧来のシエラに慣れた人たちからは抵抗があったようだ。しかし、優れた乗り心地とハンドリング、品質、室内の広さは、ライバルを一気に旧式化させるものだった。現在では、その明快なデザインと実力から、モダン・クラシックとしてリスペクトを集めている。
画像 会社を救ったヒーロー的なクルマたち【TVRキミーラやフェラーリF355、ランボルギーニ・ガヤルドなどを写真で見る】 全114枚