【現実の環境でテスト】ランドローバー・ディスカバリー・スポーツPHEV仕様に試乗 EVよりも便利なのか?

公開 : 2023.01.19 12:05

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツのPHEV仕様に試乗。EVオーナーの筆者がPHEVの意義を考えます。

質感高い「最近のランドローバー

撮影:Daisuke Ebisu(戎大介)

2023年のお正月の間、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツPHEVを借りて約400kmほど試乗してみた。

その最大の目的は、PHEVがBEVと比べてどの程度有効であるか、ということの検証であった。

今回試乗したのは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300e。2代目のディスカバリーを社用車として使用していた筆者は、最近のランドローバー社の製品の完成度は高いという。
今回試乗したのは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300e。2代目のディスカバリーを社用車として使用していた筆者は、最近のランドローバー社の製品の完成度は高いという。    戎大介

実際にステアリングを握ってみてまず思い出したのは、昨年初めまで乗っていたレンジローバー・イヴォークの感触である。

ドアを開けシートに座りエンジンをスタートさせる、といった当たり前の手順を踏んでいって、すぐに判るのは、すべてのタッチが上質感にあふれ誠に気持ちが良いのである。

例えば、ドアの閉まり音やパネルの合わせ、スイッチ類の操作の感触の良さなど、最近のランドローバー社の製品のクオリティは、車種を問わず非常に高いレベルに達していると思う。

わたしの経験では、20年ほど前、2代目のディスカバリーを社用車として使用していたことが思い出される。

その当時、とても使いやすいSUVとして重宝していた記憶があるが、クオリティに関してはそれほど良いとは思わなかった。

しかし、現在のディスカバリーはイヴォークとほぼ共有するシャシーで、隔世の感がするほど完成度は高いと思う。

400km走行 「楽しいクルマ」

さて、今回試乗したのはディスカバリー・スポーツのPHEV仕様である。

カタログデータによるとEV仕様で66.1km走行が可能であり、7kWの普通充電器で満充電にするには132分かかるという。

ディスカバリー・スポーツのPHEV仕様は1.5L 3気筒エンジンを搭載。心もとないと感じていたが、実際に試乗すると印象は良かった。
ディスカバリー・スポーツのPHEV仕様は1.5L 3気筒エンジンを搭載。心もとないと感じていたが、実際に試乗すると印象は良かった。    戎大介

7kWという充電器にお目にかかったことは無く、おそらく本国でのデータだと思われるが、車載のリチウムイオンバッテリーは15kWhであるというから数値的にはほぼ合っている。

対して、フロントに搭載されるガソリンエンジンは1.5L 3気筒で147kW/200psを発生する。

エンジンはフロントホイールを駆動し、モーターはリアの駆動を受け持つ。

わずか1.5Lの3気筒エンジンは、これまでの感覚からいえばやや心もとないと感じてしまうが、実際にアクセルを踏んでみるとそんなことは杞憂であることがすぐに判る。

エンジン音は乾いた独特のビートを奏でて3気筒であることを主張している。

EVで走るときはこの特徴的なビートが無くなるのですぐに判る。加速はなめらかで、必要にして十分であり不満は無い。

乗り心地も速度域を問わず安定していて剛性も高く、妙な突き上げとか不快なビビリなど皆無だ。

軽めの操舵力のステアリングもやや反力が強いものの、基本的には狙ったとおりのラインをスムースにトレースできる。

今回の試乗は総走行距離が400kmを超えたが、総じてストレスフリーでステアリングを握っている限りにおいては、とても楽しいクルマと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事