英国の自動車・二輪車メーカーまとめ 中編 個性が強すぎる全106社を総ざらい

公開 : 2023.01.21 18:45

英国に拠点を置く自動車・二輪車メーカー全106社を総ざらい。世界最小のクルマ、自宅で組み立てるスポーツカー、未来的な水素バスに超高級車など、個性豊かな英国の自動車業界。その裾野の広さには驚かされます。

グラッドストン・モーターサイクルズ

英国の首相にちなんで名付けられた二輪車メーカーはそう多くはないはずだが、グラッドストン・モーターサイクルズはその1つである。ウィリアム・グラッドストン元首相を大叔父に持つ二輪車マニア、ヘンリー・コール氏の夢であり、同社はリアサスペンションのない、クラシックなトライアンフ製エンジンの「ボバー」タイプのバイクを製造している。

コッツウォルズの工場で顧客の希望に合わせて手作りされ、出荷の際には個別に番号が振られる。フレームはMetisse社、エンジンはロンドンのThe Baron’s Speed Shopから供給されるなど、国内のサプライヤーを使用している。価格は仕様によって異なるが、2万8000ポンド(約440万円)前後からとなっている。

グラッドストン・モーターサイクルズ
グラッドストン・モーターサイクルズ

ゴードン・マレー・デザイン

マクラーレンF1をはじめ、数々のF1レーシングカーでチャンピオンに輝いたゴードン・マレーの最新作がT.50である。ジェット戦闘機のような中央配置のドライビングシートと、最高回転数1万2100rpmの3.9L V12エンジンを採用している。

T.50はすべて、サリー州ギルフォードにあるゴードン・マレー・オートモーティブ社の工場で組み立てられる。マクラーレンF1が製造されたウォキングからそう遠くない場所だ。F1と同様、T.50も限定生産となっており、100台のみ販売される予定である。

ゴードン・マレー・デザイン
ゴードン・マレー・デザイン

グリナル・カーズ

マーク・グリナル氏の名を冠した同社は、1980年代にトライアンフTR7にローバーV8エンジンを搭載する改造車からその歴史が始まった。技術水準は高く、約350台の改造車が作られたが、グリナル氏は何か新しいことに挑戦したいと考えていた。そこで1991年、BMWのエンジンを搭載した三輪車のスコーピオンが誕生する。

最新世代のスコーピオンS-IIIは、フロント2輪、リア1輪、そしてBMW 製1.3Lバイク用エンジンという従来通りの方式を踏襲しながら、より洗練されたモデルとなっている。また、このテーマを四輪で実現したスコーピオンIVもある。スコーピオンはこれまでに約300台が製造された。グリナルはこのほか、BMWやトライアンフをベースとしたトライクも手掛けている。

グリナル・カーズ
グリナル・カーズ

GTOエンジニアリング

GTOエンジニアリングは、英国と米国に工房を持つ世界有数のフェラーリ専門レストア業者である。250GT SWB、250カリフォルニア・スパイダー、205TRをベースとしたリバイバルシリーズを展開している。

そこからさらに進化させたのが、250GT SWBに自社製4.0L V12エンジンを搭載してアップデートした「スクアーロ」モデルである。ヒューランド製トランスミッションを搭載し、カーボンファイバー製モノコックタブを含むほぼすべてのパーツがGTOエンジニアリングによってハンドメイドされ、完成車重量は1000kg未満に抑えられている。

GTOエンジニアリング
GTOエンジニアリング

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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