少し気まぐれで大きな猫 オラ・ライトニングキャットに試乗 ツインモーターで408ps 

公開 : 2023.01.31 08:25

中国の新興メーカー、オラがリリースした大きなキャット。ツインモーターで408psのサルーンを、英国編集部が評価しました。

パサートよりひと回り大きいサルーン

AUTOCARでも先日試乗した、オラ・ファンキーキャットは欧州での販売がスタートした。まだ中国以外での認知度は低いものの、長城汽車会社が創設したバッテリーEV(BEV)専門ブランドは、モデルレンジの拡大に注力している。

面白いことに、オラはモデル名に「キャット」を必ず付けると決めたらしい。今回試乗した新型のサルーンは、ライトニングキャットを名乗っている。ちなみに、中国ではネクストキャットと呼ばれている。

オラ・ライトニングキャット(中国仕様)
オラ・ライトニングキャット(中国仕様)

全長は4871mm、全幅は1862mmあり、サイズはフォルクスワーゲン・パサートよりひと回り大きい。ゴルフと同程度の大きさのハッチバック、ファンキーキャットより中国では人気を集めているという。国内では、主に女性をターゲットとしている。

スタイリングは個性的で、混雑した市街地でも見分けられる雰囲気を放つ。丸いヘッドライトはミニのものに似ているし、滑らかなライン構成にはポルシェの影響も感じ取れる。だが、プロポーションは少々まとまりが悪いように思う。

ドアを開くと、目新しい世界が広がる。運転席へ座ると、モニター式のメーターパネルに猫のキャラクターが表示され、「ニャー」とひと鳴き。右に向かって歩き出し、ダッシュボード中央のインフォテインメント用モニターへ移動する演出で出迎えられる。

内装に用いられた素材は上質で、レザーも惜しみない。プラスティック製の部分はソフト加工されており、テキスタイルはマイクロファイバーでタッチが心地いい。製造品質も高いようだ。

プラットフォームは内燃エンジン用がベース

センターコンソールには、実際に押せるハードスイッチが並び、エアコンの調整やドライブモードの選択ができる。センターコンソールは宙に浮いたフローティングタイプで、その下にはスマートフォンのワイヤレス充電トレイとUSBポートが設えてある。

クルマのキーを車内に残したり、スマートフォンを充電したまま降りると、ライトニングキャットがドライバーに声を掛けてくれる。カップホルダーは1本だけだ。

オラ・ライトニングキャット(中国仕様)
オラ・ライトニングキャット(中国仕様)

フロントシートはスポーティーな形状で、リアシートより座面が低い。助手席側は高さ調整できないようだが、ヒーターとクーラー、マッサージ機能は内蔵されている。リアシート側の前後長は充分といえるが、ルーフが傾斜し、頭上空間には余裕がない。

フォルムはルーフからテールゲートまで滑らかに連続したファストバックだが、実際は荷室が独立したサルーン。金属製のトランクリッドの開口部は位置が高く、狭く、大きな荷物は少し積みにくい。容量自体は大きく、リアシートの背もたれも倒せる。

リアシート側のフロアがフラットではなく、BEVとしてはホイールベースが短め。ライトニングキャットは、長城汽車会社の傘下にある、別ブランドの内燃エンジン用プラットフォームをベースにしているのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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