トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか
公開 : 2023.01.28 20:25 更新 : 2023.02.13 08:26
トヨタが満を持して投入したEV専用車は、大きな不満はないものの、質感やエルゴノミクス、操作性や静粛性などに、少しずつ物足りなさがありました。操縦性とドラポジは、ステア・バイ・ワイヤ前提と思われるフシがあります。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
ー内装 ★★★★★★☆☆☆☆
ー走り ★★★★★★★☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★☆☆☆
はじめに
EV投入合戦の初期段階において、トヨタはほぼ様子見に徹していた。結局のところ、高効率のハイブリッドを幅広く揃えているトヨタは、メーカーに課されるCO2排出量規制をクリアするのに、EVを必要としなかったのである。
それどころか、コンペティションモデルのようなGRヤリスや、自然吸気V8を積むレクサスLC500といった高性能エンジン車を売り続ける余地さえあった。それはたいしたものだ。
しかし、内燃エンジン廃止への流れや、次期排気規制のユーロ7は、厳しい状況をもたらすことになるだろう。そこでトヨタは、ついに市販EVのbZ4Xを発売するに至った。それも、この上なくライバルがひしめいているミディアムSUVセグメントでだ。
競合モデルを上げていけば、このセグメントの過密ぶりがわかる。同郷の日産アリアをはじめ、アウディQ4 E−トロンやBMW iX1、メルセデス・ベンツEQB、フォルクスワーゲンID.4といったドイツ勢、テスラ・モデルYやフォード・マスタング・マッハEといったアメリカ勢、EV攻勢をかけるボルボのXC40リチャージ、ヒョンデ・アイオニック5やジェネシスGV60、キアEV6といった韓国勢など。欧州では、スコダ・エンヤックiVも強力なライバルだ。
ここで存在感を際立たせるには、印象に残るネーミングがほしいところだが、bZ4Xという車名はどうだろうか。ロジカルに読み解いていくと、bZはビヨンド・ゼロの略称で、トヨタのバッテリーEVの総称的なものとなるようだ。
4はだいたいのサイズを示す数字で、RAV4と同じくらいの大きさであることを示唆し、XはSUV的なものを指す。なお、中国専売のEVセダンであるbZ3も、このルールに従えばアウトラインが想像できる。同様の命名規則に従うモデルは、今後も続くようだ。
長く待ち望まれたトヨタの本格量産EVだが、まったくもってトヨタらしからぬ不具合が発生し、さらに長く待たされることとなった。発売直後、ホイールハブに問題が見つかり、最悪の場合はホイールが脱落することが判明したのだ。
解決策は単純なものではなく、3ヶ月を要することになった。その間、納車済みのオーナーはクルマを走らせることができず、トヨタは生産をストップせざるを得なかった。
そうして時間をかけて、不備を克服したクルマがここにある。はたしてトヨタは、その対策も含めた長い準備期間を有効に使ってきたのか、それとも、単純に他社に遅れをとっただけなのか。じっくり見極めていきたい。