ウェルズ・ヴェルティージュ まもなく生産開始 ミドシップの軽量スポーツカー

公開 : 2023.01.26 06:25

クルマ好きの2人が開発したスポーツカー、ウェルズ・ヴェルティージュの生産が今年半ばに開始される予定です。850kgの車体にフォード製2.0L NAをミドシップした、英国生まれの少量生産車です。

英国産のミドシップ・スポーツカー

2021年夏に公開されたスポーツクーペ、ウェルズ・ヴェルティージュの生産が間もなく開始され、今年半ばには納車が始まる予定だ。

ロビン・ウェルズ氏とロビン・ホール氏の2人が開発したヴェルティージュ(Vertige)は、年間25台を生産する予定。初年分はすでに完売し、次回分の受注が開始されている。生産は英ウォリックシャー州の工場で行われ、価格は5万ポンド(約800万円)からとなる。

ウェルズ・ヴェルティージュ
ウェルズ・ヴェルティージュ    AUTOCAR

2021年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでヴェルティージュを披露して以来、ウェルズ氏とホール氏は、クルマの開発、工場の準備、製造チームの編成と訓練、サプライチェーンの構築(できるだけ多くの地元業者を採用)を続けてきた。

プロトタイプで3万km以上のテスト走行を行い、昼夜を問わず運転し、耐久性を証明するとともに改善点をあぶり出した。

最近の改良では、ステアリングラックが若干遅くなり、フロントタイヤの幅も若干細くなり(205sから195s)、ステアリングフィールを向上させている。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4を履く。

初期の問題であった風切り音は、ドア開口部の微妙な変更とドアシールの入念な調整によって抑えられた。リアスクリーンの取り付け方法の変更と、新しい一体型ヘッドライナーも静粛性に貢献している。

ミドマウントのフォード製2.0L 4気筒エンジンにも改良が加えられた。ツインエアボックスの設計変更により、吸気の流れを改善。ECUの改良とフライホイールの軽量化もあって、パフォーマンスフィールは大幅に向上したとウェルズ氏は語るが、210psの出力に変更はない。

このパワーと850kgという軽量ボディが相まって、0-97km/h加速5.0秒以下のタイムと、225km/hに迫る最高速度を実現することができるのだ。

工場の敷地レイアウトにもこだわり

ミッドランズにある本社は4棟の旧農家を利用したもので、周囲はほとんど農地に囲まれている。敷地内は、ウェルズらしく細部までこだわったレイアウトになっている。まず集会場とオフィス、次に店舗とカスタマーレセプションというように、段階的に開発される予定だ。

すでに造園を始め、植樹の計画も立てている。敷地内を流れるイッチェン川の一部を浚渫(しゅんせつ)し、野生生物の生息地として整備している。近々、工場内に水処理施設を設置し、工場で使用した水を川に戻す予定だ。

本社のスタッフとロビン・ウェルズ氏(左から2番目)
本社のスタッフとロビン・ウェルズ氏(左から2番目)    AUTOCAR

ウェルズは工場に高い目標を掲げている。近代的で、組織化され、エネルギー効率が高く、クリーンで、高品質のクルマを製造できる、いわばミニ・マクラーレンのようなものを目指しているのだ。1台を組み立てるのに200時間ほどかかると予想されている。

創業者兼CEOのウェルズ氏はこう語る。

「ヴェルティージュは、少量生産のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIのようなクルマにしたいと考えています。スポーティで素晴らしい走りをしながらも、大手メーカーのような堅実さと洗練性を備えているのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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