ステランティスになって何が変わる? 旧FCA/旧PSAが1つに、日本法人2年目の戦略とは
公開 : 2023.01.27 06:25
旧FCA/旧PSAから生まれた「ステランティス」。日本でも統合を経て1つの法人になりました。ユーザーにどんなメリットがあるのでしょう。
新社長 打越氏 トナーレを披露
トヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー・日産・三菱グループなど、世界トップ3を争う自動車メーカーに迫る勢力となったステランティス・グループ。
フランスの旧PSAグループと伊・米の旧フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)を統合して、2021年1月に誕生した。
日本においては、現地法人としてFCAジャパンとグループPSAジャパンが存在していたが、2022年3月に統合されて「ステランティス ジャパン」となった。
そして昨日開催されたアルファ・ロメオ・トナーレの発表会において、11月に新社長となった打越晋(うちこし・すすむ)氏が、プレゼンテーションを行い、今後の戦略について語った。
打越社長は、「ステランティスになって、何が変わったの?」「ユーザーにどんなメリットがあるの?」と聞かれることがあるという。
そのうえで今後の戦略を示したのだが、注目は、“ブランドを越えて”ステランティスのクルマが買える・買いやすくなるという取組みだろう。
電動ラインナップ拡大 19車種
ステランティス・グループに属するブランドは現在、15ブランドになる。
そのうち日本で展開しているのは、「フィアット」「フィアット・プロフェッショナル(商用車)」「アバルト」「アルファ・ロメオ」「ジープ」「プジョー」「シトロエン」「DS」の8ブランドになる。
まずは、この8ブランドの車種を拡充して、豊富なラインナップを展開していくと、打越社長は語る。
(コロナ禍以前にはオペルの導入もアナウンスされていたが、今回のプレゼンでは言及されなかった)
とくに、電動化モデルを強化していくという。
今回発表されたトナーレは、アルファ・ロメオ初の電動車(マイルドハイブリッド)として日本に導入される。
これを皮切りに、アメリカンブランド(ジープ)で3モデル、イタリアンブランド(フィアット/アルファ・ロメオ)で3モデル、そしてフレンチブランド(プジョー/シトロエン/DS)では13モデル、合計「19の電動モデル」を日本に導入する予定だ。
そこで語られたのが、先の「ステランティスになったメリット」。今後、2つのメリットが生まれるという。
複数ブランド、1つのショールームで
まず1つ目のメリットは、ネットワークの拡充。
同社のミッションとして、「新車、中古車、サービスが、一体となって、お客様の要望を的確に理解し、迅速に対応することが重要」と説く打越社長。
2022年時点では、8つのブランドで349拠点を誇るステランティス ジャパンのネットワークだが、「迅速に対応するには、われわれのネットワークはまだまだ不十分」との見解を示した。
8つのブランドのユーザーは現在、平均で10km~15kmもの距離を走って来店する状況だと明かし、2025年には442拠点にまで拡大し、ショールームを増やすことで店舗間の距離を縮め、よりユーザーに有益なネットワークを構築していくという。
その鍵となるのが「クロス・インベストメント」だ。
例えば、「ジープを展開している販売店に、アルファ・ロメオもお願いする」「複数のブランドを取り扱うお店を拡大し、より利便性の高いネットワークにしていきたい」
また、「フィアットを展開しているお店の周りのお客様が、じつはフレンチの方が嗜好に合っているのではないか、というフレキシブルな対応も可能になる」と例を挙げ、「これこそ、ステランティスだからできる新たな価値だと考えます」と、新戦略に自信を見せた。