「デュカト」の供給状況・今後のバリエーション展開は? 日本法人に聞いてみた ジャパンキャンピングカーショー2023

公開 : 2023.02.06 18:15

フィアット・デュカトの発売後、初のジャパンキャンピングカーショーはデュカト祭り。輸入元は、今後のボディバリエーション拡大を検討しています。

待望の正規導入で、デュカト祭りに

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

ステランティス日本法人(以下、ステランティス)が昨年の12月に販売を開始した、フィアット・プロフェッショナルの「デュカト」。

ステランティスからユーザーに直接販売するのではなく、正規ディーラーやビルダーがキャンピングカーを製作して販売する形式をとる。

日本のキャンピングカー市場に黒船として参入した正規輸入車の「デュカト」。洗練されたスタイリングを武器に、ハイエース1強のカテゴリーに戦いを挑む。
日本のキャンピングカー市場に黒船として参入した正規輸入車の「デュカト」。洗練されたスタイリングを武器に、ハイエース1強のカテゴリーに戦いを挑む。    AUTOCAR JAPAN

そのため、ジャパンキャンピングカーショー2023では、ステランティスのブースでベース車両となる「素」のデュカトが1台展示されただけ。

だが、デュカトのキャンピングカーを製造するディーラーやビルダーが、数多くの“キャンピング・デュカト”を出展。

さらに、並行輸入したデュカトをベース車両としたキャンピングカーも見かけられ、さながら今回のキャンピングカーショーは「デュカト祭り」ともいえる様相を呈していた。

欧州で700万台の実績 ポイントは3つ

ステランティスは、今回のショーで、フィアット・プロフェッショナルの瀧川可奈子プロダクトマネージャーによるプレゼンテーションを行い、直接お話も伺えたので、デュカトの現状と今後を紹介しておこう。

1981年に誕生(現行型の3代目は2006年に登場)したデュカトは、いままでに700万台以上が生産され、世界80か国以上で販売されている。

デュカトL2H2(BtoB販売:549万5040円)の前席内装。ハンドル位置・スライドドアの位置はもちろん、ADAS装備、大画面カーナビの採用など、日本市場に本気で取り組む気概を感じる。
デュカトL2H2(BtoB販売:549万5040円)の前席内装。ハンドル位置・スライドドアの位置はもちろん、ADAS装備、大画面カーナビの採用など、日本市場に本気で取り組む気概を感じる。    AUTOCAR JAPAN

キャンピングカーとしては、ヨーロッパでNo.1のモデルだ。その魅力は、大きく3つ挙げられる。

まず1つは、横置きエンジンレイアウトによる鼻筋の通った横顔、切れ長のLEDヘッドランプや流れるターンシグナル、おしゃれなカラーラインナップなど、商用車らしくない「カッコ良さ」。

次に、十分以上に広い室内、回転式のフロントシート、観音開きの大開口ドアなどによる「包容力の高さ」。

そして、装備の充実したコクピットや高効率・高信頼性のパワートレイン、安全装備やドライバーアシスタンスなど、サイズは大きくても「いつもの乗用車感覚」で乗れること。

デュカトの受注開始はこれからなのだが、すでにディーラーやビルダーには100台ほどが供給されている。それでも、コロナ禍などによる半導体不足の影響もあり、供給は遅れ気味ではあるという。

シャシキャブ、ワゴンの日本導入は?

受注はこれからということで、どんな層がオーナーになるのかは分かりかねているようだが、いままでもキャンピングカーを所有しており、より充実したキャンピングカーライフを目指して、“ステップアップ”したい層が中心になるだろう。

キャンピングカーの中でも、バンを改造した「バンコン」タイプは、日本ではトヨタ・ハイエースをベースにしたものが主流だが、そこからのステップアップにはデュカトは最適な1台だ。

ジャパンキャンピングカーショー2023の初日(2/6まで開催)に、プレゼンテーションを行ったステランティス日本法人フィアット・プロフェッショナル・ブランドの瀧川可奈子プロダクトマネージャー。
ジャパンキャンピングカーショー2023の初日(2/6まで開催)に、プレゼンテーションを行ったステランティス日本法人フィアット・プロフェッショナル・ブランドの瀧川可奈子プロダクトマネージャー。    AUTOCAR JAPAN

しかも並行輸入車も多いキャンピングカー市場では、正規輸入車というのは大きなアドバンテージ。

また、現在はキャンピングカーのベース車両としてバン1仕様・3サイズのみが日本に導入されているが、デュカトのボディバリエーションは多い。キャンピングカー用だけでなく、商用バン・乗用ワゴンなどの導入に関しても、問い合わせは多いようだ。

さらに、「バンコン」ではなく「キャブコン(ボディ後半をキャンピング用スペースに架装する)」製作用に、キャビンとシャシーだけの「シャシキャブ」の導入も検討されているという。

実際、ジャパンキャンピングカーショー2023でも、並行輸入したデュカトのシャシキャブをベースにしたキャブコンのデュカトが展示されていた。

ステランティスでは、まずはニーズを探ってからデュカトのバリエーション拡大を図っている。いずれにしても、デュカトの登場は日本のキャンピングカー市場に一石を投じたことは間違いないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

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