【現実の環境でテスト】メルセデス・ベンツEQS 450+ 一般道/高速道路/峠道で検証
公開 : 2023.02.06 19:05
現実に即した環境でメルセデス・ベンツEQS 450+に試乗。充電結果や電費、ドライブフィールなど、良かったこと、気になったことを紹介。
斬新なEQSのデザイン
メルセデス・ベンツのEV戦略の中で、フラッグシップたるSクラスの電動化はもっと先のことだと思い込んでいたが、意外にも昨年、EQSとしてデビューしてしまった。
発表時に最も驚いたのは、700kmを誇るEQS 450+の航続距離である。また、バッテリー容量も107.8kWhと巨大で、ぜひ、どのような走りをするのか試乗したいと思っていた。
しかし、発表当初、EQSの試乗は1泊2日に限り、この条件では、航続距離をテストすることはほぼ不可能であった。
しかし、この度、ようやく長期の試乗が可能となったので、1週間に亘って試乗をした結果を報告したい。
EQSは写真でもお判りの通り、キャビンが前後に大きく張り出した極めて特徴的なプロポーションを持っている。エンジンを置くスペースは不要だが、一方で、床下にはバッテリーを装備しなければならないので、ホイールベースは3210mmと可能な限り長くなっている。フロントボンネット部分は短く、そこから流れるような柔らかなラインが前面のウインドウ、そしてルーフラインに繋がっている。このスムースな面構成で、何と0.20という画期的な空力の数値を実現しているから驚きだ。
全体の印象としては未来的で斬新なデザインであるが、本来のSクラスが持っていた風格とか威厳とはややかけ離れていると思う。この変革はとても大胆で私個人としては嫌いではない。
インテリアもエクステリアと呼応して、大胆な意匠で構成されている。低めのダッシュボードには全面に亘ってスクリーンが広がり、これでもかと情報を伝えてくれる。スイッチ類の使い勝手も悪くなく、大画面のナビシステムでは自車の位置確認もしやすい。
フロントシートには通常のヘッドレストのほか、ソフトなクッションがついていて頭部がぴったりとフィットする。着座してみると、サイドウインドウの下辺が低く開放感はあるが、これまでのSクラスで感じられるような包み込まれる感覚は無い。
快適性+運転の楽しさ
ドライビングの操作は従来と同様、右側のコラムスイッチで行う。
ドアを開け、乗り込んだと同時にシステムはオンとなるので、後はコラムレバーをDに入れれば、すぐに極めて静かにスタートする。
ステアリングの操舵は軽く、しかも比較的クイックだ。これまでのSクラスでは正直、路面の感覚と隔絶された印象であったが、このEQSでは、路面のフィーリングをしっかりと伝えてくれ、この感覚だけで速く走れそうな感じがする。
加えて、245kW(333ps)、568Nm(57.9kg-m)の十分すぎるパワーとの連携により、ワインディングでも相応のスピードを楽しむことが可能だ。
従来なら、Sクラスを振り回す気にはなれなかったが、このEQSは、流石に専用シャシーとして新開発しただけのことはあると感じた。
電力回生はコラムレバーで3段階に換えることが可能であるが、中間のレベルでフット・ブレーキも併用するのが自然で馴染みやすい。しかし、下りのワインディングなどでは、強めの回生を随時選択すると良いと思う。
ボディサイズは、5225×1925×1520mm(全長×全高×全幅)でまさしくフルサイズであるが、実際には苦になるほどではなく、高速道路などのクルージングなどでもストレスはない。
リアシートは、当然のことながら広くゆったりとしてこの上ない空間が用意されている。
ここにも、ソフトなクッションがあり座り心地の微調整などが可能だ。
リアウインドウと一体で大きく跳ね上がるトランクリッドを開けると、驚くほど巨大なラゲッジスペースが広がる。これもクーペ型のボディスタイルを選択した恩恵が出ているのだろう。