雪山が呼んでいる! 唯一無二の三菱デリカD:5 指名買いの秘密はどこにある?

公開 : 2023.02.06 19:45  更新 : 2023.02.07 09:16

改めて、三菱デリカD:5を街中/高速道路/ワインディング/雪山で試乗。指名買いの秘密を明らかにしました。

雪山旅で試す、熟成の16年モノ

今日び「ミツビシ・デリカ」と言って多くの人が想像するのは、先日のオートサロンで姿を現した「デリカ・ミニ」のことを指すのかもしれない。

だが今回の主役は「本家」の方。編集部で「雪山にでも撮影に行きたいねぇ」という「クルマより先にロケ場所ありき」な話をしていたら、だったらデリカD:5で決まりでしょ! ということになったのである。

三菱デリカD:5を街中/高速道路/ワインディング/雪山で試乗。
三菱デリカD:5を街中/高速道路/ワインディング/雪山で試乗。

現行モデルのデリカD:5には2回ほど乗っているけれど、ちゃんとは乗れていない。というのは、最初は北海道の雪の上だけで、次は富士山麓のオフロードコースだけ、という特殊な条件だったから。

つまりアスファルトの上を走ったことがないのだ。今回は街中、高速道路/ワインディング/雪山をひと通り走るので、デリカD:5の試乗コースとしては完璧だ。

現行のデリカD:5は車名の通りの5代目。デビューはリーマンショックで有名な2007年なので今年で16年目!

もちろんその長いモデルライフの中で数多くの改良が施されているが、中でも2018年のビッグマイナーチェンジは印象的だった。ごく普通の端正な雰囲気だったフロントマスクが一転して、厳つく精悍なものに変わったからである。

今回の取材旅は都内から中央自動車道経由で雪に覆われた高地、長野県の霧ケ峰を往復する。ある意味デリカD:5のために用意されたかのようなコース設定なので、きっと完璧な仕事を果たしてくれるに違いない。

調和と優しさに浸る デリカD:5の乗り味

中央道でデリカD:5に乗っていると、他のデリカが良く目につく。ルーフキャリアにスキー・スノボが固定されていたり、赤いマッドフラップが付いていたり、パタゴニア社のステッカーが貼ってあったりオーナーの趣味趣向がひと目でわかるクルマが多くて面白い。

走りはじめてすぐ、乗り心地が「恐ろしく」良いことに感心させられた。55扁平という、現代ではわりと厚みのあるスタッドレス・タイヤを履いていることもあるが、タイヤもアシも非常にしなやかで、それを受け止めるボディも突っ張らず、見事に調和している。

増岡浩さんから聞いた「デリカのプラットフォームはランエボと一緒。だから走りがいいんです!」と言う言葉は本当だ。
増岡浩さんから聞いた「デリカのプラットフォームはランエボと一緒。だから走りがいいんです!」と言う言葉は本当だ。

昨今のドイツ車的な「ボディは硬いがアシはしなやか、ショルダー丸めのタイヤで優しいハンドリング特性を確保」というセッティングも表現としては同じ「調和」なのだが、80km/hで快適なのはデリカD:5の方だ。

ハンドリングもいい。以前、北海道でドライブしたデリカD:5は今回と同じマイチェン後。その際、あの増岡浩さんから聞いた「デリカのプラットフォームはランエボと一緒。だから走りがいいんです!」と言う言葉は本当だ。

雪道ではほとんどロールしないので思い切り振り回せたが、今回中央道の高速ワインディングでも視界の良さとは裏腹に腰高感がない。

大門峠に上がっていくと景色は白く変わっていったが、何しろ「今日はデリカD:5に乗っている!」という安心感の方が大きい。センターコンソールのダイヤルを2WDから4WDに切り替えれば身構える必要はなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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