先鋭的なEVサルーン 次期プジョー508 新アーキテクチャで全面的刷新へ

公開 : 2023.02.08 06:05

プジョー508の次世代モデルは、ブランドの電動化にともない、最新技術を搭載したEVとなる見込みです。コンセプトモデル「インセプション」のデザインと技術を採り入れ、2025年移行にデビューすると考えられます。

プジョーの改革 508は電動セダンへ

プジョー508は、EV(電気自動車)専用の第3世代に生まれ変わる予定となっている。プジョーは、ブランドの抜本的な改革に向けた準備を進めているからだ。

2025年以降、プジョーのEVモデルは、従来のPSAグループのアーキテクチャから、新時代のモジュラーEVプラットフォーム「STLA」に切り替わる予定だ。ステランティス傘下の14ブランドに広く導入されるものである。

次期508は「インセプション」の影響を強く受けたデザインとなるだろう(画像は予想レンダリングCG)
次期508は「インセプション」の影響を強く受けたデザインとなるだろう(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

先月発表されたコンセプトモデル「インセプション」で見られるように、STLAプラットフォームはプジョーのEVに段階的な変化をもたらす。新しいワイヤレス・ステアリングシステム、高度な自動運転機能、はるかに強力なモーター、高速充電機能(およびワイヤレス充電の可能性)を備えた長距離バッテリーを導入することになるのだ。

プジョーはインセプションの市販版そのものを作る予定はないと明言したが、その低く構えたスタンスとシャープな姿は、言わずもがな2018年発売の2代目508(現行)と非常に近い。STLAベースのEVが登場するタイミングは、508のフルモデルチェンジの時期とおおよそ重なるであろう。

SUVの人気増に伴い、Dセグメントのセダンやステーションワゴンの販売台数が激減し、最近ではフォード・モンデオやオペル/ヴォグゾール・インシグニア、ボルボS60などが軒並み撤退したため、508の将来も不透明であった。しかし、プジョーのリンダ・ジャクソンCEOは、ブランドの改革を進める中でモデルラインを廃止するつもりはないという姿勢を示した。

今月初めにラスベガスで開催されたCES 2023(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、ジャクソンCEOは次のように述べた。

「プジョーには素晴らしいモデルがありますが、引き続き同じサイズ、同じ数のモデルを維持したいと思います。つまり、それぞれのモデルを刷新していくということです」

次世代ラインナップ SUVとのバランスを

実際、プジョーが示した次世代EVラインナップの予告画像を見る限りでは、208と308、そしてSUVトリオの後継車とともに、508の流れを汲むファストバックが計画されているようだ。

508の後継モデルは、車名はそのまま変わらない可能性が高いが、モデルチェンジにより位置づけが若干変更されると思われる。デザインとしてはインセプション・コンセプトの要素を採り入れながら、他モデルとトーンを合わせていくだろう。

今後のラインナップを示した予告画像
今後のラインナップを示した予告画像    プジョー

明らかなのは、昨今のトレンドを考慮してクロスオーバーのようなテイスト(高いドライビングポジションなど)を採用しながらも、セダンの従来型シルエットは維持されるということだ。

ジャクソンCEOは、このようにセグメントを跨ぐこと(408が代表例)が、次世代EVの効率性と実用性の最適なバランスをもたらすと述べている。

「SUVが消えるとは誰も言っていないと思います。SUVには変わらない人気がありますから。しかし、わたし達は皆、SUVをより空力的にする方法を探しており、そのため少し違ったシルエットに移行し始めています」

ジャクソンCEOは、SUVの魅力として高いドライビングポジションと「モジュール性」を挙げているが、新しいボディスタイルによって効率を向上させ、航続距離を延ばし、CO2排出量を削減できるという考えを示した。

プジョーの製品責任者ジェローム・ミシュロン氏は、今後の製品セグメンテーションについて「SUV以外の選択もある」と述べた。2008、3008、5008が「非常に成功している」ことは認めつつも、208や308といった「ロールーフ」車も依然として売れ筋の主力車種であることを強調した。

「今後のポートフォリオでは、SUVや他のコンセプトカーとのバランスも考えています。インセプションが市販化されるとは言いませんが、このバランスは大切にしたいのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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