ボルボ「安全性に新たな基準」 新型EX90 年内に生産開始、7人乗りの高級SUV

公開 : 2023.02.10 06:05

ボルボの新型EV「EX90」の生産が2023年末より開始される予定です。衝突事故の低減を目指し、安全性を重視した設計になっているとのこと。全長5m超、3列7人乗りの大型SUVで航続距離は約580kmとされます。

ボルボ最大のモデル 7人乗りSUV

ボルボの新型の7人乗り電動SUV「EX90」は、今年の第4四半期に生産を開始することが明らかになった。

ボルボのジム・ローワンCEOは会見で、EX90の2024年の販売開始に先立ち、当初はごく少数しか生産されないと述べた。昨年11月に発表されたEX90は「予約受注の目標を突破した」という。

ボルボEX90
ボルボEX90    ボルボ

また、近く導入が予定されている小型SUVのEX30(仮称)との関係については「ラインナップのトップとテール」と述べており、ブランド最小モデルがEX30、最大のモデルがEX90になるようだ。

ローワンCEOによると、EX90は「ボルボが今いる場所と、これから向かう場所を示すもの」であり、同社が自動車の衝突死亡事故ゼロを目指していることから、安全性に関する新基準を設定するとのことだ。

EX90は事実上、現行のボルボXC90に相当するEV専用車である。既存のXC40リチャージ、C40リチャージに続く3番目のEVだが、プラットフォームにはSPA2を初めて採用した。基本構造の大部分はボルボ傘下のポールスターの「3」と共有しているが、3列シートを備えている点が大きな違いである。

スタイリングとしては、昨年公開されたコンセプトモデル「リチャージ」をベースにしつつ、XC40リチャージに見られるパネル式グリルや直立型テールライトなど、見慣れたデザインを踏襲している。また、航続距離を伸ばすために空力効率にも磨きをかけ、空気抵抗係数はCd値0.29を謳う。

航続距離580km 安全性も重視

パワートレインはツインモーター/四輪駆動で、最高出力407ps、最大トルク78kg-mを発生させるが、パフォーマンスモデルは最高出力517ps、最大トルク92kg-mとなる。いずれも最高速度は180km/hに制限される。また、より低出力のシングルモーター仕様も導入予定である。

容量111kWhのバッテリーを搭載し、電力消費効率は1kWhあたり4.7km、1回の充電での航続距離は580~586kmとされる。最大250kWの充電に対応し、30分で10~80%の充電が可能だという。

ボルボEX90
ボルボEX90    ボルボ

ボディサイズは、全長5037mm、全幅1964mm、全高1747mm。現行のXC90より長さ、幅ともに大きいが、車高は若干低い。車両重量は2818kg。3列7人乗りでトランク容量は310L、3列目を畳んだ状態(5人乗車時)で665L、2列目も畳むと1915Lになる。足回りとしては、22インチのアルミホイールとエアサスペンションが標準装備となる。

EX90の最大の特徴は、安全性に関するソフトウェア、ハードウェアにある。注目すべきは、LiDARを標準装備(センサーをルーフ前端に搭載)し、他のセンサーやカメラを補完して運転支援能力を底上げしていることだ。

発売当初は、車線変更支援のステアリング・サポート機能が追加された運転支援システム「パイロット・アシスト」が搭載される予定だ。ボルボによると、将来的に特定の条件や場所で「監視なしの自動運転」を実現する機能をOTAサブスクリプション方式で提供するという。また、車内センサーでドライバーの目の集中力を測定し、注意散漫や居眠り運転を警告する。

こうした新しい安全機能とインフォテインメント・システム、バッテリー管理システムは、Nvidia DriveとクアルコムのSnapdragon Cockpitプラットフォームを使用したコアソフトウェアによって制御される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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