フォルクスワーゲンID Buzz 詳細データテスト 価格は高い 動力性能はほどほど 静粛性は上々

公開 : 2023.02.18 20:25  更新 : 2023.03.05 00:54

現代版ワーゲンバスと期待のID Buzzは、かつてのタイプ2よりかなり大きなEVで、価格もお高め。室内のアレンジもご先祖さまほどの自由度はありません。しかし、快適で上質なファミリーカーとしては上出来の部類です。

はじめに

フォルクスワーゲンのモデルレンジ電動化が勢いを増すにつれ、新たに既存モデルとはまったく異なる、どこかで見たようなファミリーカーがショールームに姿を見せるようになった。それはほかのIDを名乗るEVと違って、アウディクプラスコダといった他ブランド名義のバリエーションを持たない、フォルクスワーゲン専売車だ。

エポックメイキングだと言っていいだろうID.3の欧州市場におけるセールスは、強力なスタートダッシュを決めたが、その後は月販4000台程度まで落ち込んだ。内燃エンジンのゴルフやポロ、T-ロックなどに比べれば微々たる台数だ。

テスト車:フォルクスワーゲンID Buzz SWB 77kWh スタイル・プロ
テスト車:フォルクスワーゲンID Buzz SWB 77kWh スタイル・プロ    LUC LACEY

対して、フォルクスワーゲンのほかのEVは人気が高まり、今後1年かそこらでエントリークラスのコンパクトEVが2車種追加される予定もある。

そこで望まれたのが、より大型なモデルの設定とゼロエミッションモデルのラインナップ拡大で、アクティブなライフスタイルを持つファミリー層へとターゲットを移すことだ。ついでに、昔を懐かしむセンチメンタルな気持ちも盛り込んだはずだ。

そうして生まれたのがID. Buzzだ。フォルクスワーゲンに言わせれば、これは「未来志向でサステイナブルなファミリー向けモビリティのニューフェイス」ということになる。大まかに言えば、また動力源を別にすれば、5シーターのフルサイズ1ボックスMPVは、20年前には支持を得たが、その後は姿を消してしまった。

ミニバスとも呼ばれたそれは、比較的上質な乗用車用プラットフォームがベース。商用車ベースだった主な競合モデルとは、その点で一線を画していた。

マイクロバスやヒッピーバンなどさまざまな愛称は、愛好者が多いことを物語るものだともいえる。現代解釈版となるEVのBuzz(バズ)という名は、1949年に開発されたタイプ2バスにちなんでいる。

そのネーミングから思い起こされるのは、過去の熱狂的なファンの存在と、大衆文化への幅広い浸透ぶりだ。それから長い時を経て、新時代のBuzzは、新たな世代の間でバズるクルマになることができるのだろうか。

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