トヨタ・グループ、回復の筋道が見えたか 2月の新車販売実績で見る、他ブランドとの「差」

公開 : 2023.03.02 05:45  更新 : 2023.11.08 01:13

2月の新車販売レポートです。6か月連続で、前年を上回りました。注目は、トヨタ・グループとそれ以外のブランドの「差」です。

2月の新車 6か月連続のプラス

半導体など部品の供給状況を精査しながら関係仕入れ先と連携し、生産調整を進めている日本の自動車メーカー。

2023年2月の国内新車販売市場は、その効果が明確に表れる形となった。

2023年1月は、約7000台を登録したトヨタ・ヴォクシー。前年1月と比べて398.4%を記録し、いよいよ生産を軌道に乗せた。
2023年1月は、約7000台を登録したトヨタヴォクシー。前年1月と比べて398.4%を記録し、いよいよ生産を軌道に乗せた。    池之平昌信

登録車の2月の新車販売台数は、前年同月比26.3%増の「26万9837台」と2か月連続でのプラス。

一方、2月の軽自動車の新車販売台数は、同11.3%増の「15万6889台」と6か月連続でのプラスとなる。

結果として、トータルでの2月の国内新車販売台数は、同20.3%増の「42万6726台」と、6か月連続での前年実績超えを成し遂げた(自販連/全軽自協の速報値)。

登録車の2月のブランド別新車販売台数では、部品の調達不足の影響が出た日産が前年同月比5.6%減(2万5289台)。

ホンダが同7.6%減(2万1503台)、マツダが同13.7%減(1万4074台)、三菱自が同15.1%減(3786台)と前年実績割れを記録。

一方、トヨタは同49.4%増(14万3791台)、スズキは同49.0%増(1万1270台)、レクサスは同234.9%増(9525台)、スバルは同22.2%増(5611台)、ダイハツは同8.8%増(3486台)と前年実績超えを達成した。

また、貨物車のブランドはエンジン性能試験の不正問題の影響が残る日野が同30.1%減(3290台)と低迷したものの、いすゞは同77.7%増(5626台)、三菱ふそうは同17.1%増(2620台)、UDトラックスは同18.8%増(757台)とプラスを記録した。

「軽」も伸び悩んだ2月のホンダ

軽自動車の2月のブランド別新車販売台数は、前年同月比14.0%増(5万1131台)を成し遂げたダイハツが、6か月連続でのシェアトップに位置。

競合するスズキは同16.8%増(4万6273台)を記録したものの、5000台近い差で第2位に甘んじた。

ホンダが発表する「工場出荷時期目処」は、半年程度/一年以上というモデルが目立つ。軽のNシリーズでは、「Nワン」のみ5か月程度だが、それ以外は半年程度・半年以上という案内(2月27日現在)。
ホンダが発表する「工場出荷時期目処」は、半年程度/一年以上というモデルが目立つ。軽のNシリーズでは、「Nワン」のみ5か月程度だが、それ以外は半年程度・半年以上という案内(2月27日現在)。    ホンダ

また、ホンダは生産調整の影響で同4.8%減(2万8388台)とマイナスに後退。

対して日産は同14.8%増(1万9370台)、三菱自は同32.1%増(4471台)とプラスを達成する。

一方、OEM供給を受けるブランドではマツダが同43.4%増(3180台)と前年実績超えを果たしたものの、トヨタは同2.6%減(2505台)、スバルは同4.3%減(1569台)と停滞した。

2月の新車販売の動きについて業界団体の関係者は、「前年2月の新車販売台数が35万4668台と低調に推移していたこともあって、本年2月は20%超えのプラスを記録した。ただし、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年2月の47万9422台にはまだ達していない」と説明する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大貫直次郎

    Naojiro Onuki

    1966年型。早稲田大学卒業後、自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、フリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)などのほか、レストア待ちの不動バイク数台。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』シリーズなど。

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