熟成のスイートスポット ベントレー・コンチネンタルGTC V8 Sへ試乗 走りに意欲的

公開 : 2023.04.02 08:25

3代目として熟成を重ねるコンチネンタルGT。スイートスポットといえるV8 Sのカブリオレを英国編集部が評価しました。

適度に運動神経を磨いたコンチネンタル

ベントレー・コンチネンタルGTとGTCは、歳を重ねる毎に熟成されていく。特徴を磨き込みながら。3代目の登場当初は、W型12気筒とV型8気筒のエンジンの違いによるシンプルな構成だったが、アップデートを重ね最近は選択肢が増えている。

確認すると、英国ではスピードとマリナー、アズール、V8、V8 Sというラインナップで、それぞれ優先されるポイントが僅かに異なる。その前に、クーペのGTかコンバーチブルのGTCかを決める必要があるけれど。

ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S(英国仕様)

なかでも、V8 Sはスイートスポットだと思う。間もなく最後を迎えるW12エンジンより甘美に回るV8エンジンを搭載し、走りに意欲的。ドライバーズカーとしての魅力を高めるメカニズムと、最適化されたインテリアが与えられている。

ベントレーは、このコンセプトを2010年の2代目で導入した。それ以来、AUTOCARのお気に入りだ。

V8 Sでは、電圧48Vで稼働するアクティブ・アンチロールバーが標準。アルミホイールは21インチか22インチを選べる。ブレーキキャリパーはレッドに塗装され、専用のアクティブ・スポーツエグゾーストが音響的な訴求力を高める。

アダプティブダンパー付きのエアサスペンションと、パワーステアリングの設定は、V8エンジンを積む他のコンチネンタルと同じ。スピードには採用される、アクティブ・トルクベクタリング機能付きのリアデフと四輪操舵システムは、V8 Sには備わらない。

コンチネンタルとして、適度に運動神経を磨いている。より高価なグレードを選ぶ理由も残されている。

非の打ち所がないほど快適な車内

スタイリングでV8の「S」だと主張するのが、クロームメッキではなくブラックアウトされたボディトリム。フロントグリルとミラーカバー、ヘッドライトやサイドウインドウのフレームなどが、すべて黒で引き締められている。必要ならホイールも。

車内にはエレガントなスポーツシートが組まれ、GTスピードと同じモニター式メーターが実装される。内装は本皮とスウェード調のダイナミカという組み合わせで仕立てられ、配色はオーナーが細かく指定できる。

ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S(英国仕様)

フロントフェンダーやサイドシルには、Sの文字があしらわれる。シートのヘッドレストにも、エンボス加工が施される。

握り心地が素晴らしいステアリングホイールは、特に筆者が好きな部分。とはいえ、ステアリングコラムから伸びる美しいレバーのソリッドな質感や、エアコン用スイッチのタッチまで、すべての触感が好ましい。インテリア素材の高級感も群を抜いて高い。

ステアリングホイールは、もう少し低い位置に設定できてもいい。だが、それ以外は非の打ち所がないほど快適だ。

インフォテインメント用のモニターが、現代のモデルらしく備わる。そのインターフェイスも慎重に考え抜かれている。心の底から感心させられる。

記事に関わった人々

  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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