タイカン・クラスのBEVサルーン ハイファイ Z AWDへ試乗 2023年後半に欧州へ上陸

公開 : 2023.04.14 08:25  更新 : 2023.05.01 08:39

BEVで攻勢を強める中国メーカー。ポルシェ・タイカンと伍するサイズのサルーンを、英国編集部が評価しました。

ポルシェタイカン・クラスのBEVサルーン

中国の新興企業、ヒューマン・ホライゾン社が擁する自動車メーカーのハイファイは、同社初となる量産バッテリーEV(BEV)の「X」を2022年に発売したばかり。だが早速、2台目となる「Z」が加わった。写真の通り、ちょっと人目を引くモデルだ。

ハイファイの創業は2019年だが、中国ではかなりの支持を集めるブランドへ成長している。上級SUVに属するXは、現地ではメルセデス・ベンツEQCを上回る台数が売れているという。このカテゴリーでは、中国で最も売れている1台に数えられる。

ハイファイ Z AWD(中国仕様)
ハイファイ Z AWD(中国仕様)

そんな勢いを支えている理由の1つが、韓国のキアとの合弁事業であること。そのため、製造品質も決して低くないのだ。

今回のZは、そのXとプラットフォームを共有する。しかし、パッケージングはかなり異なる。スポーティなサルーンとしてデザインされ、ライバルに挙げられるのはポルシェ・タイカンだ。

写真ではサイズを掴みにくいが、Zの全長は5036mm、全幅は2018mmもある。シャープなスタイリングが特徴的で、サイドドアは前後にヒンジが設けられた観音開き。リアの大きなスポイラーも個性的といえる。後方の視界は、カメラ映像で確認できる。

センターピラー部分のボタンを押すと、ドアが開く。大きな開口部の奥には、ドラマチックなインテリアが広がる。もちろん、見た目だけでなく実用性も担保されている。

角度を変えられる15.0インチのタッチモニター

ダッシュボードの中央に鎮座するのは、15.0インチのインフォテインメント用タッチモニター。ジョイントを介して固定されており、必要に応じて運転席側や助手席側に傾けることができる。

インフォテインメント・システムのインターフェイス・デザインも、よく考えられている。画面下部に表示されるメニューバーと、カスタマイズ可能なホーム画面によって、殆どの機能を1・2回のタップで実行できるようだ。

ハイファイ Z AWD(中国仕様)
ハイファイ Z AWD(中国仕様)

インテリアの質感は、豪華なXと比較すると少し見劣りする。レザーや上質なマイクロファイバーがふんだんに用いられているものの、いかにも硬質なプラスティック製部品も多い。メッキなどの質感は若干チープ。フレームレスドアのシール材も弱々しい。

サスペンションにはエアスプリングが採用され、乗降時に車高が下がる。だが、リアシートへ乗り降りする場合は、走行時の高さの方が楽だろう。

車内空間にはゆとりがあり、大人4名が快適に過ごせる。リアシート側にも独立したエアコンを備え、6.0インチのタッチモニターで背もたれの角度などは調整可能。ルーフラインはクーペ風に傾斜しているが、頭上空間も充分確保されている。定員は5名だ。

荷室容量は316Lと小さいが、リアシートの背もたれが電動で倒れる。長い荷物も問題なく搭載できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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