準備着々のパサート級EV フォルクスワーゲンID.7 試作車へ試乗 航続最長700km 前編

公開 : 2023.04.16 08:25

BEVのラインナップ拡充を進めるVW。パサート・クラスの新モデル、ID.7の試作車へ英国編集部が試乗しました。

パサート級のBEVサルーン 追ってワゴンも

フォルクスワーゲンは、欧州市場でバッテリーEV(BEV)のラインナップを短期間に整えた。ハッチバックのID.3から、クロスオーバーのID.4やID.5、ミニバンのID.バズまで、幅広いボディスタイルを用意している。

2022年の下四半期では、世界全体での販売の10%近くをBEVが占めたという。日本でも、ID.4から導入が始まっていることはご存知かと思う。

フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプ

そして更なる充実を図るべく、2023年末にニューフェイスが加わる。リフトバック・スタイルの4ドアサルーン、ID.7が英国のショールームへ並ぶことになる。2024年には、ステーションワゴンも追加されるという。

このID.7がライバルとするのは、テスラモデル3ヒョンデ・アイオニック6。既存のフォルクスワーゲン・モデルでいうと、パサート・クラスに属する。

肝心のお値段はまだ発表されていないが、英国では5万ポンド(約805万円)前後になるだろうと予想される。モデル3やアイオニック6のロングレンジ版と、価格帯でも接近した設定のようだ。

ID.7のオリジナルといえるのは、2018年のスイス・ジュネーブ・モーターショーで発表されたコンセプトカー、ID.ビジョン。滑らかにカーブを描くフォルムを受け継ぎ、2022年のアメリカ・ロサンゼルス・モーターショーで、ID.7としてデビューを果たした。

短いボンネットに長く低いキャビン

今回試乗に招かれたのは、初夏の陽気だったスペイン。カモフラージュとしてQRコードのような模様がボディ全面に施されていたが、ID.4などに採用されるスタイリングの要素が展開されていることがわかる。

横から見ると、短いボンネットに長く低いキャビンが続く、2ボックススタイル。フォルクスワーゲンは、空力特性や走行時のノイズ低減のため、平滑な面処理に注力したと主張する。確かにドアハンドルはボディ面とツライチで、ドアパネルの隙間も小さい。

フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプ

プラットフォームは、フォルクスワーゲンが開発したBEV専用のMEB。コンパクトにまとめられたパワートレインのおかげで、Aピラーをパサートより遥かに前方に位置させている。

大きく倒されたフロントガラスと、緩やかなルーフラインが貢献してか、空気抵抗を示すCd値は0.23。最近のID.シリーズより良好で、過去に少数が生産されたプラグイン・ハイブリッドのXL1へ接近している。あちらは、0.19と桁が違うが。

ボディサイズは全長が4961mm、全幅が1862mm、全高が1538mmで、現行のパサートより186mm長く、30mm広く、55mm高い。ホイールベースは2966mmあり、180mmも長い。高い実用性を得ていると考えていいだろう。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。フォルクスワーゲンがダイナミック・シャーシー・コントロール(DCC)・プラスと呼ぶシャシー・オプションを追加すれば、アダプティブダンパーが組まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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