ハンドルから「手を離す」ってどんな感じ? 欧州初のハンズフリー運転支援を試してみた
公開 : 2023.04.18 06:05
フォードのハンズフリー運転支援システム「ブルークルーズ」が英国で利用できるようになりました。一体どのようなシステムなのか、またドライバーの責任についても解説します。
欧州初の「手放し」運転 人間らしい操作も?
ハンドルから手を離して運転することが可能なフォードのハンズフリーの運転支援システム「ブルークルーズ」が4月13日、英国で使用を認められた。同様のシステムの認可は欧州では初となる。
あらかじめ設定された高速道路の区間内でのみ有効だが、ハンドルから手を離した運転とはどのような体験なのか。AUTOCAR英国編集部はいち早くブルークルーズ搭載車に試乗し、その実感を探った
ブルークルーズは現在、英国で販売されるEVのマスタング・マッハEにのみ導入されており、月額17.99ポンド(約2980円)のサブスクリプションで利用できる。通称「ブルーゾーン」と呼ばれる区間でハンズフリーが可能だ。英国におけるブルーゾーンは、イングランド、スコットランド、ウェールズの高速道路で設定され、全長は約3700kmに及ぶ。
フォードのブルークルーズは「レベル2」に相当する運転支援システムだが、ハンズフリーが可能なことから「レベル2+」と表現されることもある。フォードの従来のインテリジェント・アダプティブ・クルーズ・コントロール(IACC)のアドオン機能であり、IACCが有効な状態でブルーゾーンに進入すると車両の操縦を引き継ぐことができる。
IACCは、周囲の走行車両と速度を合わせ(速度上限は130km/h)、交通状況に応じて減速し、道路標識に従って速度を調整する。ブルークルーズはこのIACCをベースに、急カーブに差し掛かる際の速度調整や、ドライバーが「直感的に行う傾向がある」という隣接する車線の大型車(トラックなど)から「わずかに」離れる「人間らしい」走行位置決めなど、高度な機能が追加されているという。
ただし、すでに米国で導入されているブルークルーズとは異なり、英国では車線変更にドライバーのステアリング入力が必要だ。
ハンドルから手を離すハンズフリーが可能だが、ドライバーは引き続き道路に注意を向ける必要があり、「ハンズフリー(ハンズオフ)、アイオン」機能とも呼ばれている。このため、特定の状況下で完全に制御を任せることができる自動運転「レベル3」には達していない。つまり、車両に操縦を任せている間も、ドライバーは安全システムの一部に位置づけられる(ドライバー・イン・ザ・ループ)。
そのため、赤外線カメラでドライバーの集中力を監視し、注意散漫と判断されると警告を発する。ドライバーが警告に応じない場合は、走行を中止し、徐々に減速・停止させることもできるようになっている。