可能な限りエンジン版へ似せる BMW i5 M60 プロトタイプへ試乗 ブーストボタンで598ps

公開 : 2023.05.10 08:25

可能な限り内燃エンジン版の5シリーズへ近づけた、と技術者が明かすEVのi5。試作車へ、ひと足先に英国編集部が試乗しました。

可能な限り内燃エンジン版へ似せたい

BMWは、既存の主力車種へ並ぶバッテリーEV(BEV)をラインナップしようと考えているようだ。新しい7シリーズに合わせて、BEV版のi7が登場したことからも、その意向は理解できる。

8代目となる新しい5シリーズの発表が、2023年後半に予定されている。そのラインナップの重要な一翼を担う存在として、BEV版のi5も開発は大詰めにある。

BMW i5 プロトタイプ
BMW i5 プロトタイプ

トラディショナルなデザインと、現代的なデジタル機能、フレキシブルなドライブトレイン設計、バランスに長けたドライビング体験の4点に注力したと説明するのは、アンドレアス・ホルジンガー氏。次期5シリーズの、プロジェクトリーダーを務める技術者だ。

「5シリーズを選ぶなら、BEVでも従来的な内燃エンジン車でも、5シリーズらしいクルマにしたいと考えました。ゴールは、可能な限り両者を似たものにすることです」

カモフラージュされているが、写真をご覧いただけば、i5が従来的な3ボックス・シルエットを維持していることがわかる。ボンネットは長く、大きなキャビンを長いルーフが覆い、滑らかにトランクリッドへ続いている。

BEV版も内燃エンジン版も、ボディパネルは基本的に共有するという。だが、フロントグリルや空力特性に優れたホイールなど、視覚的な差別化もパワートレインの違いで図られるらしい。

基礎骨格は改良版クラスター・アーキテクチャ

インテリアにもカバーがかけられていたが、i5のダッシュボードはi7ものと共通することは間違いないだろう。インフォテインメント用とメーター用、2枚のモニターを一体にしたパネルが、軽く弧を描き上部に据えられている。

ステアリングホイールは、スポーク部分にタッチセンサーが備わるマルチファンクション。リムが太い。

BMW i5 プロトタイプ
BMW i5 プロトタイプ

インフォテインメント・システムのiドライブは、バージョン8.5という最新版が実装される。無線アップデート機能のほか、ハンズオフでの車線変更機能も盛り込まれるとか。

i5が基礎骨格とするのは、改良版のクラスター・アーキテクチャ。内燃エンジンを積む5シリーズとも共有する。

ただし、81kWhの駆動用バッテリーが敷き詰められるフロア部分は、i5の専用設計。また、リアシート側の空間は通常の5シリーズと比べて若干狭く、車内にはトランスミッション・トンネルの峰がある。ドライビングポジションは同等だそうだ。

パワートレインの構成は、当初2種類。ツインモーターで598psを叶えた四輪駆動のM60と、シングルモーターで339psのeドライブ40という構成。急速充電能力は、ともに最大200kWまで対応するとのこと。

いわずもがな、ライトなMモデルとなるM60の場合、動力性能は同カテゴリーでトップクラス。今回プロトタイプを試乗させていただいたBMWのテストコースでも、その能力に疑う余地はなさそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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