ポルシェ・タイカン 暖房システム「問題」改善で生産量増加へ エアコン故障、納車遅れも
公開 : 2023.05.04 06:05
ポルシェは、タイカンに装着される暖房システムの供給量が増加し、タイカンの生産が改善されると発表しました。これまで故障品の対応のため、新車の納車待ち期間に影響していました。
EV生産正常化へ 暖房システム供給増加
ポルシェは、暖房システムの供給数の増加に伴い、EVのタイカンの生産を「大きく増産」させる。同社の財務担当取締役副社長ルッツ・メシュケ氏が明らかにした。
タイカンの暖房システムは、故障して車内空調やデフロスターが効かなくなる可能性があるという問題が指摘されている。ポルシェは暖房ユニットを交換するなどして対応にあたってきた。
同システムはタイカンだけでなく、兄弟車のアウディeトロンGTの一部にも装着されている。少なくとも英国だけで800台が影響を受けているという。
ポルシェは、生産ラインで待機している新車よりも、既存車の欠陥ユニットの交換を優先したため、出荷に遅れが生じている。
メシュケ氏は「タイカンの第1四半期における焦点は、既存のお客様のために予備(高電圧ヒーター)を納入することでした」と述べている。
この問題により、2023年1~3月期のタイカンの納車台数は前年同期比3.4%減の9152台となった。その結果、ポルシェのICE車に対するEV販売台数シェアは、2022年第1四半期の13.9%から11.4%に減少した。
「現在、高電圧の暖房システムに関しては、サプライヤーとともに非常に急な上昇曲線を描いており、そのため、今後数か月でEVのシェアが上昇することが期待できます。わたし達は、通年で12~14%というEVシェア(目標)を達成できると確信しています」とメシュケ氏は語る。
また、タイカンの需要は世界のすべての地域で非常に高いままであるとし、ポルシェにおけるEVシェアの減少は、「サプライチェーンの混乱と部品の入手制限によるものでしかない」と述べている。
タイカンの生産台数は抑えられたものの、2023年第1四半期にはポルシェ全体で8万767台が納車され、前年同期比18%増を記録した。
この増加を牽引したのは、SUVのマカンとカイエンで、それぞれ2万3880台(30%増)と2万3387台(23%増)、次いで911が1万1063台(19%増)となっている。
メシュケ氏によると、911の納車待ち期間は現在、米国と「海外」地域で1年以上あるという。
911の次に売れたのがタイカンで、パナメーラは8479台(10%増)と僅差で続いた。718ボクスターおよび718ケイマンは4806台(6%増)で、他車に大きく水をあけられた。