ジープPHEV「4xe」一気乗り ラングラー/グランドチェロキー/レネゲード
公開 : 2023.05.04 16:20
ジープ・ラングラー/グランドチェロキー/レネゲード4xe(PHEV=プラグインハイブリッド)に試乗しました。
PHEVという「付加価値」
CO2削減に端を発する自動車のパワートレイン電動化の流れは、そこに最も縁遠いブランドだと思われていたジープとて例外ではない。
昨年秋に発表した中期計画ではこのような方針が掲げられている。
・北米と欧州で2025年までにZEVを4モデル導入
・ワゴニア4xeを含め、アメリカで販売している全モデルに電動化モデルを導入
・2030年までにアメリカの新車販売の50%を、そして欧州で販売する100%の製品をBEVに移行
と、極限環境での用途を無視できないモデルを擁するブランドでさえ、それなりの目標を立てなければならないほど電動化対応の圧力は厳しいものなのになっているのだろう。
でも、ジープとしてはこの状況下を逆手に取って、むしろ新しい付加価値を生みだそうとしているようにも窺える。
内燃機からモーターへの置き換えによって得られるまったく異なるトルク特性と、それに伴う緻密な駆動制御とが、悪路走行時のトラクションにプラスに活かせるようになるのではと、それはわれわれドライバー側にとっても新たな四駆体験となるはずだ。
それを称して4×4ならぬ4xeと。そんなジープの電動化パワートレインのラインナップは、日本市場においてはレネゲード、グランドチェロキーそしてラングラーの3種類になる。いずれも普通充電のみに対応したプラグインハイブリッドだ。
ラングラー4xe
このうち、最も新しいモデルとなるのがラングラー4xeだ。電動化というキーワードとは最も結びつきにくいブランドのアイコンにそれを投じてくる辺りに、ジープの本気ぶりが透けてみえる。
搭載エンジンは現在のJL型ラングラーのスタンダードともいえる2L4気筒直噴ターボで、そのアウトプットは272ps/400Nmと変わりはない。
そのエンジンと8速ATとの間に145ps/255Nmの駆動用モーターを組み込み、クラッチ制御によって独立や協調、回生などエンジンとの連携をコントロールする。
また、エンジン側には始動や発電用のモーターも組み込まれており、ドライブモードに応じてエンジン稼働中の発電も担っている。
駆動用のリチウムイオンバッテリーは後席下部に収められ、その容量は15.5kWh。BEV走行の可能距離はWLTCモードで最長42kmと発表されている。急速充電には非対応、200V普通充電での所要時間は5時間程度といったところだろう。
ラングラー4xeの日本仕様の展開はルビコンのみ。副変速機はもちろん、スウェイバーのディスコネクトなど悪路走破想定の装備もそのまま、装着タイヤもマッドテレインとなる。モノが電気でもやることはやると言わんがばかりのグレードというわけだ。
そもそもがクロスカントリー的出自のクルマにして、グレード的に履いているタイヤの特殊性も相まってか、ラングラー4xeでのBEV走行は重機でも操っているかのようなノイズ感が印象的だ。
特にエンジンの稼働である程度マスクされていた細かなギア鳴りや足回りの作動音などが際立ってしまうのは致し方ないところだろう。もちろん相対的に静かであることは間違いなく、特に発進〜50km/hくらいの街中で多用する速度域でのキャビンの快適さはラングラーらしからぬところだ。
大出力のスタータージェネレーターも採用していることもあって、エンジンの始動は素早く滑らかだが、ハイブリッドモードで多用されるモーターとの協調時にはクラッチコントロールの限界か、力の繋がりに段差も感じられる。
但し、双方が稼働してのパワフルさは4×4が積むペンタスターV6にも比肩、もしくはそれ以上の迫力を感じさせるほどだ。高速ダートやサンドなど、パワーを要する場面でのパフォーマンスにどのような効果があるのか、或いはロックやモーグルといった場面でモーターのトラクション能力がどのように活かされるのか、ラングラー4xeの興味は尽きない。