ケータハム初のEV、年内デビューへ 「軽さとシンプルさ」追求の新型スポーツカーの姿
公開 : 2023.05.05 06:05
ケータハム初のEVとなる新型2シーター・スポーツカーを2023年内に発表する予定です。果たしてどのようなモデルになるのか、同社のデザインチーフに話を聞きました。
セブンとは異なる2シーター・スポーツカー
英国の自動車メーカーであるケータハムは、従来の「セブン」とはまったく異なる電動2シーター・スポーツカーを数か月以内に発表する予定である。
英ケント州に本拠を置くケータハム(親会社は日本のVTホールディングス)は、電動化の先鋒となる新型車を計画している。ケータハムの創立50周年である2023年内に、そのデザインが披露されることになるだろう。
新型車のデザインを担当するのは、Wモーターズのライカン・ハイパースポーツや、ジャナレリー・デザイン-1で知られる自動車デザイナーのアンソニー・ジャナレリー氏。
トリノのイタルデザイン社とのパートナーシップのもと、ケータハムの「既存のファンを喜ばせながら、別のタイプのオーディエンスにもアプローチする」機会として期待されている。
ジャナレリー氏によると、この「架け橋」を作ることは「大きな責任」だが、「エキサイティングなことなので怖くはない」という。
「わたしの一番の望みは、ケータハムからのメッセージを人々が理解してくれることです」と彼は言う。
このメッセージとは、ケータハムの原理・原則はパワートレインの性質にかかわらず、まったく新しいモデルに受け継がれ、具現化されるというものだ。ジャナレリー氏はAUTOCARに対し、次のように語っている。
「ケータハムの原則は軽さです。セブンの魅力は、シンプルで機能的なクルマであること。たとえEVを作るとしても、同じ哲学を適用したい。とてもシンプルなものです。派手な機能はありません。このクルマを運転することが一番の楽しみなのです」
「できるだけ軽く、を心がけています。軽さから引き出される性能は素晴らしいものになる。そして、走る歓びは、この軽さの結果なのです。キーワードは常に、シンプルさ、軽さ、そしてドライビングプレジャーです」
軽さ、シンプルさ 「ケータハムのデザイン」とは何か
ケータハムというブランドの魅力も、新型車の構想に強い影響を与えていると、ジャナレリー氏は言う。「ケータハムを手に入れたら、何が得られるでしょう? 他車とは違うものが得られるのです。ケータハムを買えば、主流から外れて、少し大胆な人になる。わたしはそれを将来のモデルに込めたいのです」
ジャナリー氏は新型車のデザインで大きな自由を得ている。なぜなら、従来のセブンは「スタイリングを持たない」からだ。
「次に作るクルマは、ロータスに由来するセブンとは違い、 “ケータハムのスタイリング” を適用できる最初のクルマです」
新型車は長いボンネットを持たず、「かさばらない」とした上で、ジャナレリー氏は形状やサイズについて深い言及を避けたが、EVならではのスリムさとシンプルさが、パッケージングとコンパクトさを改善する要因になると述べた。
軽さとシンプルさを追求する彼の姿勢は、ケータハムのCEOであるボブ・レイシュリー氏の意思と一致している。
新型車について、レイシュリー氏は以前、「間違いなくセブンにはならない」としながらも、「しかし、今日のケータハムのお客様がよくご存知の、軽さ、シンプルさ、敏捷性、パフォーマンスといった特徴をすべて備えているはずです」と語っている。
「セブンと同様、スチール製のスペースフレームを採用します(ただしセブンとは別物)。2枚のシル、2枚のドア、そしてフロントとリアのクラムシェル・オープンを備えた、アルミニウムまたはカーボン製の6枚パネルからなるボディを持ちます。セブンよりも美しくてモダンで、それが大きな差別化ポイントになるでしょう。もしかしたらルーフがつくかもしれません。当初から純粋なEVとして設計しており、後輪駆動のみでSVA(型式認定のない車両に対する英国の車検制度)に基づいて登録される予定です」
ケータハムが今年発表するのがコンセプトカーなのか、それとも量産前のプロトタイプなのかはまだ明らかではない。だが、レイシュリー氏は、英ダートフォードに最近オープンした新しい工場でセブンよりも多くの台数を生産し、ベース価格を高くする計画をほのめかしている。
新型車の発売時期は不明だが、VTホールディングスの高橋一穂CEOが生産開始を熱望していると言われており、早ければ2026年に発売される可能性がある。
画像 形態が機能に従う。軽量シンプルスポーツカー【ケータハム・セブン170Rや2000、420カップなどを写真で見る】 全79枚