クラシック・ミニを電動化 構造そのまま、最高出力60psのEVに エンジンからモーターへ

公開 : 2023.05.08 18:05

英国のエレクトロジェニック社は、クラシックなミニを電動化するキットを発表しました。車体構造はそのままに、エンジンをバッテリーとモーターに置き換えるだけの「プラグ&プレイ」なキットとされています。

エンジンに戻せる電動化キット

クラシックカーの電動化を手がける英国のエレクトロジェニック社は、クラシック・ミニ向けの電動パワートレインを新たに発表した。

組み立て済みのキットで、ミニのAシリーズ・エンジンを水冷式電気モーターに交換し、固定ギアのトランスミッションを介して最高出力60psと最大トルク13.8kg-mを発生させる。

エレクトロジェニック社のミニ電動化キット
エレクトロジェニック社のミニ電動化キット    エレクトロジェニック社

これは、1997年から2000年のローバー・ミニに搭載されていたツインポート・インジェクションのAシリーズ(64ps、9.7kg-m)に匹敵する性能となる。しかし、1959年の初代ミニ(当時はオースチン・セブン)の34ps、6kg-mと比較すると、大幅にパワーアップしていることがわかる。

20kWhのバッテリーを採用し、渋滞や低速走行の多い街中では回生エネルギーを活かして約130kmの航続距離を実現する。トランク内に2つ目のバッテリーを追加したエクステンデッドレンジ仕様も、後日発売される予定だ。

この電動化キットは、ガソリンエンジンとの交換作業を容易にするため、交換用フロントサブフレームに組み込まれている。交換時には、このサブフレームをボルトで固定し、パワートレインを配線するだけで済むとのこと。車体構造を変更する必要がないため、エンジンに戻すことも可能だ。

キットは英国で今秋発売される予定で、価格は1万5000ポンド(VAT別、約255万円)となっている。

エレクトロジェニック社の共同設立者であるスティーブ・ドラモンド氏は次のように述べている。

「当社は長年にわたり、数多くの美しいミニを電気駆動に変えてきましたが、装着が簡単かつリーズナブルなソリューションを求める声が大きいことを実感していました。今回のドロップインキットは、これらの要件を完璧に満たしています。コスト効率がよく、取り付けも簡単でありながら、最新世代のEVパワートレイン技術により、優れた電気走行性能を発揮します」

「象徴的なクラシック・ミニを、理想的なモダン・シティ・マシンに変え、街中をクリーンかつ確実に移動し、ドライバーや歩行者に笑顔をもたらすことでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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