VW傘下セアト、自動車製造から撤退か 2030年以降は若者向け「アーバンモビリティ」に注力
公開 : 2023.05.09 18:25
スペインの自動車メーカーでVW傘下のセアトは、今後10年以内に乗用車の製造を終了する可能性があります。電動スクーターなど若者向けのアーバンモビリティブランドとして再出発も検討しているとのことです。
エンジン車終了、都市型モビリティブランドへ転換?
スペインの自動車メーカーで、フォルクスワーゲン・グループ傘下のセアト(Seat)は今後10年以内に自動車製造を終了し、若者をターゲットにしたアーバンモビリティブランドに生まれ変わる可能性がある。同社の経営陣が明らかにした。
欧州連合(EU)が2035年にエンジン車の新車販売を禁止するのを前に、現在のセアトのEVは電動スクーター「Mo」しかない。セアトは、マイクロカーやバイクなど、新しい「モビリティソリューション」も検討するとしている。
セアトのある幹部はAUTOCARの取材に対し、2030年までに何らかの決定がなされる可能性が高いとし、次のように述べている。
「わたし達はセアトをフレッシュな状態に保ち、ハイブリッドと高効率エンジン車(の販売)をこの10年代末(2020年代末)まで継続するつもりです」
「現在、エンジン車(の販売)が終了する将来において、セアトの役割を分析しています」
「セアトは、Moのような若者向けのアーバンモビリティブランド/モビリティソリューションプロバイダーに変わる可能性があります」
3月に開催された年次カンファレンスで、セアトのウェイン・グリフィスCEOは2026年までにEVを発売する計画はないと述べた。
EVの販売は、2018年に独立した元サブブランドのクプラに任せ、売上の共食いを防ぐ方針である。クプラは年々販売台数を伸ばし、現在5車種を展開している急成長中のブランドだ。さらに今後2年間で2車種の新型EV(タバスカンとアーバンレベル)を投入する。
「現時点では、セアトとクプラは並行して開発を進めています。わたし達は、エンジンと電気という2つの世界最高のものを手にしています」とセアトは語った。
セアトは1950年に当時のフランコ政権のもと、スペイン政府やフィアットの出資によって創設された。1953年に自動車製造を開始し、1993年にはフォルクスワーゲン・グループの完全子会社となった。
現在の乗用車ラインナップは、イビサ、レオン、レオン・エステート、アローナ、アテカ、タラッコで構成されている。いずれもハイブリッド車または純エンジン車であり、先述の通りEVはスクーター1車種のみとなっている。