新型ホンダe:Ny1 次世代EVで巻き返し、欧州発売へ 「ヴェゼル」とは似て非なる存在

公開 : 2023.05.15 06:25

ホンダは欧州向けの新型EV「e:Ny1」を発表しました。今秋に発売予定で、航続距離412kmの68.8kWhバッテリーを搭載。欧州EV市場での巻き返しを図った意欲的な電動クロスオーバー車です。

欧州向け次世代EV第一弾

ホンダは欧州向けの新型EV「e:Ny1」を今秋に発売すると発表した。

価格は未定だが、およそ3万ポンド(約500万円)からと見込まれ、ジープアベンジャープジョーe-2008、ヒョンデコナ・エレクトリックなどの直接的なライバルとなるだろう。

ホンダe:Ny1
ホンダe:Ny1    ホンダ

e:Ny1は、欧州EV市場での販売拡大を目指すEVファミリーの第一弾であり、その位置づけや技術、デザインにおいて、既存のホンダeとは共通点を持たない。

基本的には、2021年に発売されたHR-V(日本名:ヴェゼル)と同クラスのEVであり、外観も非常によく似ているが、内容はまったく新しいもので、EV専用モデルとして販売される予定だ。

e:Ny1のプラットフォームは、「ドライバーがホンダの最新EVに期待するダイナミックなパフォーマンス、卓越した快適性、洗練性」を実現するために設計された前輪駆動のe:NアーキテクチャFである。

また、ボディの47%に高張力鋼板を採用し、ねじれ剛性を大幅に高めるとともに、低重心化とアンダーボディの空力特性の最適化によりハンドリングの向上を図っている。

フロントアクスルに最高出力204psと最大トルク31.6kg-mのシングルモーターを搭載し、0-100km/h加速は約8.0秒になると予想される。ただし、ホンダのエンジニアがこのパワートレインで特徴づけたのは「スムーズで快適な加減速」であり、速さを追求することではない。

68.8kWhのバッテリーパックを搭載し、WLTPサイクルで412kmの航続距離を誇る。これはライバル車とほぼ同じで、ホンダeのほぼ2倍に相当する。

充電の仕様についてはまだ詳細が明らかにされていないが、ホンダは急速充電器を使えば45分で10~80%の充電が可能だと述べている。

縦型の15.1インチディスプレイ搭載

インテリアでHR-Vと明らかに異なるのは、中央に15.1インチの大型インフォテインメント・タッチスクリーンを採用し、縦に設置していることだ。このようなポートレートスタイルは、テスラモデルYフォードエクスプローラーなどにも見られる。

一方で、ホンダ車の特徴である物理的なボタンやスイッチ類も備わっており、センターコンソールのクラスターから主要な機能に簡単にアクセスすることができる。

ホンダe:Ny1
ホンダe:Ny1    ホンダ

e:Ny1はホンダにとって特に重要なモデルである。英国政府は来年から、自動車メーカーの販売台数に占めるEVの割合を22%以上とし、2030年には80%に引き上げるという厳しい新排出ガス目標を掲げている。

昨年、ホンダUKの責任者であるレベッカ・アダムソン氏は、e:Ny1が「ホンダのBEVの野心を新たなレベルに引き上げる」とし、その発売が「目標達成に不可欠」であると述べた。

ホンダは、2030年までに全世界新型EVを30車種発売する計画で、e:Ny1もその内の1台だ。欧州向けの次期EVの詳細はまだ明らかにされていないが、ホンダは最近、上海モーターショーで3台のコンセプトを披露した。また、技術大手ソニーと共同開発したEVセダン、アフィーラを2026年に発売するとしている。

また、米ゼネラルモーターズと提携し、従来のCR-Vに代わるEVとして、革新的な「アルティウム」バッテリーを搭載したプロローグを開発している。

欧州では、シビック・タイプRを除く全車種に電動パワートレインを導入しており、ホンダは今後、同地域で純エンジン車を発売することはないと予想される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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