新型ボルボEX30 プロトタイプ発見 若者向けコンパクトEV、6月7日正式発表

公開 : 2023.05.18 18:05  更新 : 2023.06.14 19:15

6月7日に発表予定の新型ボルボEX30のプロトタイプが、公道上で目撃されました。若いユーザー層の獲得を目指し、新しいデザインの採用とサブスク販売に注力する方針です。

小型の電動SUV 6月デビューへ

ボルボは6月7日に新型EV「EX30」を発表する予定だ。正式デビューに先駆け、公道でテスト走行するプロトタイプの姿が初めて目撃された。

このプロトタイプには、カモフラージュ用のカバーとカラーリングが施されているが、ボルボの最新デザインの全体像を確認することができる。フロントのヘッドライトは、モダンで細い形状が採用されているようだ。

ボルボEX30のプロトタイプ
ボルボEX30のプロトタイプ    AUTOCAR

コンパクトSUVの新型EX30は、ボルボのEVラインナップにおける新たなエントリーモデルとなる。ボルボとしては最小サイズで、11月頃に欧州で発売される見込みだ。若いユーザー層の獲得を目指し、サブスクリプション販売を前提に設計されている。

ボルボは現在、大型のEX90を筆頭に、XC40リチャージ、C40リチャージの3車種のEVを展開している。

同社のCEOであるジム・ローワン氏によると、新型EX30は、1990年代後半から2000年代前半に生まれた「Z世代」のユーザー層が購入しやすいように、定額制オーナーシップを主軸とするという。また、このサブスクリプション販売によって、これまでボルボがリーチできていなかった「新しい顧客」と「対話」することが可能になると述べた。

AUTOCARが入手した情報では、月々の支払い額が「合理的に低いコスト」に設定できるよう配慮されるという。

ボルボは、「モビリティの未来を形成し、2030年までに完全なEVメーカーになるという当社の目標にとって、極めて重要なクルマ」と表現している。

コンパクト・クロスオーバーの市場は、世界各地で急速に成長しているセグメントの1つであり、2020年代半ばまでに年間120万台(うち半分はEV)を販売するというボルボの目標にとって鍵となることは間違いない。

若いZ世代に向けた新しい提案

公式の予告画像では、従来のボルボらしいデザインも確認できるが、今回のプロトタイプからもうかがえるように若いユーザーを獲得するために大胆な要素も採用する。EX90のように、背の高いSUVの形をとりながらも、空力効率を最大化するために、ボディはよりスマートな形状となるだろう。また、C40リチャージのようなクーペタイプの派生モデルが登場する可能性もある。

2月に行われたEX90の発表会で、ボルボのデザインチーフであるロビン・ペイジ氏は、今後の新型車のデザインについて「進化が始まっている」と語った。

ボルボEX30のプロトタイプ
ボルボEX30のプロトタイプ    AUTOCAR

「ボルボであることに変わりはありませんし、EX90の要素を今後の製品に取り入れることもあります。しかし、クルマが小さくなれば、もっといろいろなことにチャレンジできるようになります。色や素材、表現方法など、もう少し幅を持たせることができるのです」

プラットフォームには最新の「SEA」を採用する見込みで、現在スマート#1や、ジーリー傘下の中国専用ブランドZeekrのEVに採用されているものだ。幅広いボディサイズに対応するほか、後輪駆動のシングルモーターから全輪駆動のツインモーターまで、ニーズに合わせたパワートレイン選択が可能な柔軟性の高いプラットフォームとなっている。

EX30の兄弟車になると考えられるスマート#1は、標準仕様で最高出力272ps、ツインモーターの最上級仕様で428psを発揮する。

駆動用バッテリーとしては、街乗りに焦点を当てていることからサイズ、重量、コストを抑えるために、比較的容量の少ないユニットが採用される可能性がある。スマート#1は68kWhバッテリーを搭載し、1回の充電での航続距離は418~435kmとされる。ボルボが想定しているであろう、都市部での日常的な買い物や通勤には十分と考えられる。

また、EX30では持続可能な素材やリサイクル素材の使用が期待される。特に、若いZ世代にとって持続可能性は比較的関心の高い分野であるためだ。

手頃な価格設定を実現できるかどうかも若年層獲得の鍵を握る。ローワンCEOは、新型車ではサブスクリプションとオンライン販売に注力し、月々の支払いが「適度に低いコスト」に設定されるようにすることをほのめかしている。

SEAプラットフォームには高度なコネクティビティ機能が組み込まれており、無線でのソフトウェア・アップデートが可能だ。ボルボは、アプリを通じてオンデマンドで追加機能などを提供する可能性が高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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