1904馬力の電動ハイパーカー リマック・ネヴェーラへ試乗 価格3億8640万円 前編

公開 : 2023.06.04 08:25

ブガッティ・シロンを上回る馬力を繰り出す、電動ハイパーカーのネヴェーラ。英国編集部が一般道で走りを確かめました。

0-100km/h加速1.95秒 価格3億8640万円

電気自動車の充電スタンドは、今のところ世界最速の1台へ出会える場所ではない。しかしロンドンの北、ミルトン・ケインズでは、リマック・ネヴェーラがエネルギーを蓄えている真っ最中。忙しい主任技術者は、筆者のために午後の予定を組んでくれた。

この電動ハイパーカーは、ロンドンで明日開催されるイベントに展示される予定。クロアチア製のクルマが参加することは珍しい。注文も可能だとか。その前に、ステアリングホイールを握らせてもらえる事になった。コースアウトし、壊すわけにはいかない。

リマック・ネヴェーラ(欧州仕様)
リマック・ネヴェーラ(欧州仕様)

果たして、電動ハイパーカーとはどんなものなのか。最高速度415km/hや、最高出力1904psという動力性能にも目をみはるが、どんな運転体験を与えてくれるのか以前から関心を抱いてきた。

近年のモデルは、ここまでパワフルでなくても、本来の実力を発揮できる場所は限られている。それが可能な人も、メーカーのテストドライバーや経験を積んだひと握りだけだろう。それゆえに、現実的な環境での体験が大切になる。

ラリーのペースノートは、持ってきませんでしたよ」。助手席に座るリマックの主任技術者、マティヤ・レニッチ氏がジョークを口にする。写真撮影に適した、景観の美しい場所を目指す。

小さな町や村を抜け、緩やかな大地に広がる地方道へ入った。交通量は少ない。全幅が1986mmもあり、英国価格240万ポンド(約3億8640万円)もするリマックのアクセルペダルを蹴飛ばす。

0-100km/h加速は1.95秒。思わず、ウワッと声が漏れる。

運転が魅力的で楽しい電気自動車を作る

レニッチが、ネヴェーラは加速だけが取り柄ではないと話す。「独立制御される4基の駆動用モーターで、2000馬力近いパワーを発揮します。トルクも桁違いといえます。でも、こんな道を非常に楽しくも運転できます」

「それが開発目標の1つでした。弊社のスタッフの多くがクルマ好きで、メカ好きです。われわれにとって重要なことは、運転が魅力的で楽しい電気自動車を作ることでした。つまり、ドライバーズカーですね」。筆者も、それは大事なことだと考える。

リマック・ネヴェーラ(欧州仕様)
リマック・ネヴェーラ(欧州仕様)

欧州仕様だから、運転席は左側。ステアリングホイールやセンターコンソールには、実際に押せるハードスイッチが並ぶ。ドライブ・モードを選択する、ロータリーダイヤルが美しい。

ダッシュボードの中央にはタッチモニターが備わるが、余り頻繁には操作しない機能の入力がメイン。「画面のメニューに隠してはいません。モードを変える場合は手元のスイッチで。2回カチカチと鳴らせばスポーツ・モードになり、別のクルマへ一変です」

上方に開くディヘドラルドアと、低いサイドシルのおかげで、ボディの開口部は大きい。運転席からの視認性も良い。「これも、われわれが目指したことです。ドライブモードに関係なく、運転しやすいと思います」

「アクセルペダルを深く踏まない限り、驚異的に感じることはないでしょう」。レニッチが穏やかな表情で説明する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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