【シティコミューター原点回帰】日産の軽EV「IMk」、スマートから学ぶこと 「売り方」が鍵

公開 : 2020.05.13 05:50  更新 : 2020.05.13 07:45

東京モーターショーで発表された「IMk(アイエムケー)」。アリアの注目で、影が薄くなりがちです。軽のEVは、果たしてどらくらいの金額が「妥当」なのか。売れるために日産がすべきことを桃田健史が考えます。

日産の軽EV「IMk」量産なるか?

text:Kenji Momota(桃田健史)

日産が手掛ければ、軽EVはもっと売れるようになるのか?

第46回東京モーターショー(一般公開2019年10月24日~11月4日)で、日産は2台のEVコンセプトを発表した。

日産IMk(アイエムケー)コンセプト
日産IMk(アイエムケー)コンセプト

SUVの「アリア」と、軽の「IMk(アイエムケー)」だ。

日産幹部はIMkについて、こう表現する。

「新開発パワートレインと、(車体の)床下にバッテリーを搭載した低重心のパッケージ」

「これまでの軽自動車の概念を一新した、EVならではの力強い走りを提供します」

日産の軽といえば、2019年発売の新型「デイズ」と、2020年2月発表の新型「ルークス」がある。

両モデルは、三菱自動車工業(以下、三菱)との合弁企業NMKV(エヌエムケーブイ)で企画され、生産は三菱の水島製作所(岡山県倉敷市水島海岸)で行われている。

デイズ発表後、日産本社で担当チーフエンジニアに単独インタビューしたが、「三菱が持つ、軽のモノづくりで多くのことを学んだ」と本音を漏らした。

そうなると、IMkの量産モデルではどうなるのか?

日産と三菱はほぼ同時期に、「リーフ」と「i-MiEV」の量産を始めた。もちろん、当時の両社は技術連携はしておらず、それぞれがEV技術に挑戦していた。

IMk量産モデルでは当然、デイズやルークス同様にNMKVが中心となることは間違いない。

果たして、日産はIMk量産モデルをいくらで売るのか?

200万円じゃ高い? 軽なのに……

軽のEV、いくらが妥当か?

軽の売れ筋価格帯は、130~160万円程度。外装や内装がスポーティになると+20~30万円。雪国などでの、いわゆる生活四駆になるとさらに+15万円といったところだ。

三菱i-MiEV
三菱i-MiEV

フル装備で200万円を少し超える。

では、現行の軽EVはいくらか?

乗用向けの三菱「i-MiEV」が300万3000円。ガソリン車「i」をEVにコンバージョン(変装)したためコスト高になっている。

また、当初の計画販売台数が少なかったため電動品の購入コストも割高となった。

一方、商用車「ミニキャプ・MiEV」が、i-MiEVと同じバッテリー容量16kwhで216万8100円(2シーター)。また、i-MiEVでは設定がなくなった10.5kwhで180万1800円と200万円を切る。

商用なので当然、インテリアはシンプルで、NVH(音、振動、路面からの突き上げによる乗り心地)のレベルは乗用に比べて落ちる。

それでも、価格重視の商品企画によって多方面から継続的な需要がある。

直近では、日本郵便が東京など都心部での郵便物の集配や配達用として1200台のミニキャブMiEVを2020年度までに導入することを決めている。

こうした軽EVの現状を踏まえると、IMk量産モデルはi-MiEVより電池容量が大きくて、エントリーモデルが200万円前半。商用バージョンもあって、200万円切りとなれば、普及の道筋が見えてくるのではないだろうか。

だが、それだけでは売れない……。

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