アウディRS6 アバント・パフォーマンスへ試乗(1) 「究極的」に増強されたV8ツインターボ
公開 : 2024.02.02 19:05
RS6を究極的に増強したパフォーマンス V8ツインターボは630psと86.5kg-m獲得 舌を巻く貪欲的な速さ 乗り心地や操縦性も進化 英国編集部が評価
ワイルドでシャープな、他に紛れない強い主張
充分に大きく、驚くほど速く、感心するほど実用的なアウディRS6 アバント。これほど多能なステーションワゴンは稀有だ。アウディ・スポーツの本気が伺える。現代のクルマ好きが、高性能ワゴンに何を求めているのか、充分理解されてもいる。
RS6 アバントのユーザーは速さだけでなく、普段使いしやすい実用性や、アウディらしい先進的な技術を求めている。同時に、実用主義の見た目は望んでいない。ワイルドでシャープな、他に紛れない強い主張が好まれるようだ。
C8型のRS6は4世代目に当たり、初代の登場から20年が過ぎた。モデル末期を迎え、英国へ導入されているのは、究極的に増強された「パフォーマンス」グレードのみだ。
過去には、思考が吹き飛ぶようなV型10気筒ツインターボ・エンジンを積んでいた時代もあったが、現行型は同等以上に鮮烈な動力性能を発揮するV8ツインターボ。RS6の確固たるイメージに貢献してきた、四輪駆動システムのクワトロを実装する。
2024年の世相に合わせ、技術的なアップデートも忘れていない。CO2の排出量を減らすべく、V8エンジンはマイルド・ハイブリッド化され、BMW M5やメルセデスAMG E 63Sなどと同じく後輪操舵システムも備わる。
ボディタイプは、ステーションワゴンのアバントのみ。英国価格は11万2285ポンド(約2088万円)からで、カーボンブラック仕様には8950ポンド(約166万円)の追加予算が必要になる。
最高出力630ps、最大トルク86.5kg-mまで増強
C8型RS6の発売は2019年だが、最初から好戦的な容姿に仕立てられていた。先代より、明らかに見た目はワルだった。その傾向は、軽量なアルミホイールを履くRS6 アバント・パフォーマンスで、更に強化されている。
ボンネット内の3996cc V8エンジンは、ベントレーと共同開発されたユニットで、発売当初の3993ccのV8を置き換えた。基本的には、ベントレー・コンチネンタル GTやポルシェ・カイエン・ターボなどと共通するユニットだ。
RS6 パフォーマンスでは、最高出力630ps、最大トルク86.5kg-mまで増強されている。通常のRS6でも、600psに81.4kg-mと不足はなかったが。
目立って数字が増えたわけではなく、2100kgの車重も影響し、路上で明らかな違いを体感できるわけではない。そもそも、RS6は凄まじく速かった。音響的なドラマチックさはもう少し必要だったといえるが、現実世界では有り余るほどだった。
その新しい4.0L V8エンジンには、電圧48Vで動作するスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれている。減速時には、最大12kWの電気エネルギーを回収でき、惰性走行時は最大40秒間、エンジンを止めて進むこともできる。
気筒休止システムも実装。カタログ値の燃費は、7.9km/Lがうたわれる。
フルタイム四輪駆動で、必要に応じてロックされるトルセン式センターデフを装備。デフォルトでは、リアアクスル側へ60%のトルクが伝えられる。トラクションの状態次第で、フロント側へ85%まで割り振ることも可能だ。