レクサスLM 詳細データテスト 後席は快適至極 不足気味のパワートレインとシャシー 静粛性に盲点

公開 : 2024.02.24 20:25  更新 : 2024.03.17 10:33

走り ★★★★☆☆☆☆☆☆

この手の、オーナーが速さなど気にも留めないようなクルマに衛星式計測器を取り付けていると、馬鹿げたことをしている気分になる。そうは言っても、高級車セグメントはいくつかの点でもっともトラディッショナルだ。10万ポンド(約1890万円)以上の値付けで、これほど大衆車のようなパワートレインを積んだものにはお目にかかれない。

フルサイズサルーンや高級SUVは、ほとんどが6気筒にパワフルなモーターを組み合わせ、400ps以上を謳う。ところがLM350hは4気筒ベースで、システム出力は250psという、どうにも頼りないスペック。そして、ドライビングにおける主観的な細かい感想も、計測したデータも、実際に物足りないものだ。2023年にテストしたフォルクスワーゲン・マルチバンeハイブリッドは、48−113km/hの中間加速で1秒早く、しかも価格は半分以下だった。

普及版の4気筒ハイブリッドでは、圧倒的な動力性能は望めないが、強めの加速でかなり室内に侵入するエンジン音は、この手のクルマとしては気になるところだ。
普及版の4気筒ハイブリッドでは、圧倒的な動力性能は望めないが、強めの加速でかなり室内に侵入するエンジン音は、この手のクルマとしては気になるところだ。    JACK HARRISON

トヨタレクサスのハイブリッドは、むしろオールドスクールな特性のデリバリーで、パワートレインは街乗りの速度域だと運転がイージーで静か、そしてどこまでもスムース。ところが、紳士的とは言えないペダル入力で加速すると、エンジンルームの遮音を強化したにもかかわらず、まちがいなくうるさい。ハーフスロットルを超えたあたりから、2.3tの車体に対してハイブリッドシステムの容易に使えるトルクが足りなくなるので、エンジン回転を上げざるをえないのだ。

それ以上に残念だったのは、後席に座っていても、しばしば遅くてレスポンスが悪く、物足りないクルマだと感じてしまうことだ。80km/h巡航での室内騒音は65dBAと、リムジン並みとはいかないまでも悪くない。対してフルパワー・145km/hでは78dBAに跳ね上がり、メルセデスS580eの74dBAやBMW i7 eドライブ60の69dBAに見劣りする。市街地を出たり、遠距離を急いだりすると、洗練性は十分とは言えなくなるというわけだ。

緊急ブレーキはよく効く。しかし、その原動力たるブレーキバイワイヤのポンプとサーボが、エンジンルームが騒ぎを収めているときでもけっこううるさい。しかしながら、普通に走っているときには、ブレーキペダルはじつにプログレッシブで、調整しやすく、完璧なまでに静かだ。

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