【車両重量920kg】 第4世代スズキ・スイフト クルマとの対話を楽しむMT仕様のコスパ良し

公開 : 2024.06.27 17:45  更新 : 2024.07.19 14:47

第4世代のスズキ「スイフト」に試乗します。2004年誕生の初代から現在までの約20年間で世界累計約900万台を販売したスズキの主力。今回のグレードはハイブリッドMXのMT仕様でFFとなっています。軽さが自慢!

コンセプト踏襲の進化版と呼べるモデルチェンジ

「スイフト」の最新モデルとなるのは2023年12月17日に発売となった第4世代だ。

「スイフト」は、2004年に誕生した初代から現在までの約20年で世界累計約900万台が販売されてきたスズキの主力モデルである。軽自動車を除く登録車として、2023年において日本国内で「ソリオ」に次いで多く売れたのが「スイフト」となる。

スズキ・スイフト試乗
スズキ・スイフト試乗

新型である第4世代のコンセプトは「エネルギッシュ×軽やか 日常の移動を遊びに変える洗練されたスマートコンパクト」だ。歴代モデルのデザインと走りを継承しつつも、日常の使いやすさにも力を入れたという。

デザインでは、歴代モデルの特徴を継承することで、「スイフト」らしいスポーティさを再現している。骨格は先代と同じ「HEARTECT(ハーテクト)」プラットフォームを踏襲。

全長3860×全幅1695×全高1500mm、ホイールベース2450mmは、先代より全長が15mm伸びただけで他の寸法は変わらない。パワートレインには、新開発した1.2Lの3気筒Z12E型エンジンと、CVT、そして5速MTを組み合わせる。

エンジン出力は82ps/5700rpm、最大トルクは11kg-m/4500rpm。エントリーグレードはエンジン車のみとなるが、ミドルと上位グレードには2.3kW(3.1ps)のモーター(ISG)と小さなリチウムイオン電池を使うマイルドハイブリッドとなる。駆動はFFと4WD。価格は172万7000円~233万2000円だ。

デザインとパワートレインは新しくなったものの、プラットフォームや寸法は、ほぼ先代のまま。内容一新という斬新な変革ではなく、先代を磨きあげた正常進化というフルモデルチェンジだ。

小さなパワーを自由自在に操つる楽しみ

「スイフト」には、国内乗用車として少数派となる5速MTが存在する。その走りは、先に結論を述べると、“運転好きを満足させる楽しさがある”というものだった。

ただし、「スイフト」のMTの楽しさは一筋縄ではない。困惑と喜びが交互にやってくるのだ。まず、走り出す最初の一瞬に味わうのは困惑だ。残念ながらクラッチミートのポイントが曖昧なのだ。スパッと気持ちよくつながらない。しかし、そのおかげか、相当に適当、ラフにクラッチミートを行ってもエンストはしないし、飛び出すような不躾な動きない。非常に扱いやすいのだ。

スズキ・スイフト試乗
スズキ・スイフト試乗

また、スズキ曰く「先代よりもトルクフルになった」という3気筒エンジンは、それでも3000回転以下では満足なトルクを提供してくれない。

ずぼらに変速を怠ると、なんともかったるい動きしか見せないのだ。しかし、意識的にマメな変速を行えば、まったく違った俊敏な動きが可能となる。気持ち低めのギヤを選ぶことがポイントだ。これで、ぐっと運転が楽しくなる。

そういえば、ハイブリッドが普及する前、しかもMTが標準的だった時代は、ドライバーは常にエンジンのトルク変動に気を配り、それに最適なギヤを選ぶことが当たり前であった。そうやってクルマと対話することが、運転する楽しみのひとつでもあった。そんな楽しみを「スイフト」のMTであれば、令和の今に味わうことができるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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