Mk8.5へ進化! フォルクスワーゲン・ゴルフへ試乗 ステアに「ボタン」復活 マルチな実力を底上げ

公開 : 2024.07.07 19:05

洗練された1.5TSI 鋭く非常に正確な操舵感

試乗車は、1.0L 3気筒ガソリンターボから1.5L 4気筒ガソリンターボへ変更された、115psのゴルフ 1.5TSI。最大トルクは22.3kg-mで、レスポンスに優れ粘り強い。トランスミッションは6速MTで、0-100km/h加速は9.9秒だ。

マイルド・ハイブリッドとの相性は、7速デュアルクラッチAT(DSG)の方がスムーズさで勝る。それでも、MTでも爽快に加速し、走行中の車内は静か。かなり控えめなハイブリッドだが、低域でのトルクは予想以上に太い。

フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)

フェイスリフト後の8代目ゴルフでは、1.5TSIの洗練性は最上位レベル。動力性能は若干物足りないものの、高速道路では、右足を僅かに傾けるだけで素早く20km/h程度上乗せできる。

DSGは、マニュアルモード時の変速が若干遅め。Sモード時は、回転数を引っ張りすぎる傾向があるようだ。それでも、それ以外の印象は素晴らしい。

ステアリングホイールは適度に重く、鋭く反応し、非常に正確。姿勢制御も優秀で、安定した操縦性が運転する魅力を作っている。

コーナーでの回頭性は、ステアリングの切り始めは比較的穏やか。僅かなロール(左右方向)やピッチ(前後方向)の傾きが、シャシーの状態を理解するのに役立つ。

さらに90度ほど回していくと、機敏なシャシーが顕になり、軽快さが楽しい。スタビリティ・コントロールの介入は優しく、望めば少しのスライドも許してくれる。

乗り心地を重視するならマルチリンク式

16インチ・ホイールでの乗り心地は、路面の凹凸が巧みに吸収され良好。しかし115psの場合、アダプティブダンパーが組まれるダイナミックシャシー・コントロール(DCC)は選べず、荒れた区間では振動とノイズが大きめだ。

18インチでも、目立った乗り心地の変化はない様子。若干、車内のノイズが大きく感じた程度だ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ(欧州仕様)

もしゴルフをお考えなら、オプションのDCCは検討したい項目の1つ。滑らかな乗り心地と、ダイナミックな操縦性を両立できる。そうすれば、比較的お手頃な価格帯にある、実用的で洗練され、運転も楽しめるハッチバックへ仕上がるだろう。

150ps以上のリアに組まれるマルチリンク式サスペンションなら、さらに上質。落ち着いた乗り心地を実現している。予算が許すなら、こちらを指定したい。

飛び出たマンホールなど、鋭い入力をしっかり吸収し、高速道路ではしっとり。それでいて、引き締まった姿勢制御も犠牲になっていない。

試乗で気になった点が、車線維持支援機能。エンジンを始動するたびに自動でオンになり、高精度な操舵感に介入してくる。オフにすれば、優れた直進性で反応を予想しやすい、いつもの印象へ戻る。

運転支援システムは、歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキにアダプティブ・クルーズコントロール、道路標識読取り、ドライバーモニターなどを実装。オプションで、レベル2に準じた車線維持支援が装備される。いずれも効果的に機能していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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