メルセデスAMG GT 詳細データテスト 高まった安定性 神経質さの残るハンドリング 低い静粛性
公開 : 2024.08.24 20:25
走り ★★★★★★★★★☆
このホットVレイアウトのV8は、GクラスからCクラスまでさまざまなクルマに積まれ、10年にわたってAMGを支えてきた。しかし、おそらくもっとも刺激的なのは、キャビンがリアに寄ったスチームパンク的で背が低いクーペのノーズに収まったときだろう。
まず、野太く気だるいエキゾーストノートや、出し惜しみしない過給から想像するより、レスポンスははるかにいい。懐の広さも驚くほどで、鍛造クランクは信じられないくらい低い回転域からよく回り、スムースに推進力を増していく。81.6kg-mの最大トルクは2500rpmにも満たないうちから発生し、重いクルマを軽々と動かす。
そこからこのV8はすばらしいリニアさを示し、エキゾーストノートはハードになり、7000rpmのレッドラインで最高潮に達すると、DCTのようにキレがよく鋭いシフトアップをみせる。シフトの激しさをはじめ、スロットルペダルのシャープさやエキゾーストノートの騒がしさ、オーバーランした際の芝居がかったような激しい振動と音は、例によってエコからレースまでの走行モードによって変化する。
そのフィルターのかかっていない楽しさには、内燃機関が発する昔ながらの魅力的な音が存分についてくる。数字的にも、思ったより悪くない。ローンチコントロールを用いた0−97km/h加速は3.1秒で、後輪駆動だった先代のスペシャルモデルであるGT Rより0.5秒速い。
中間加速もかなりのもので、3速での64−97km/hはたったの1.5秒、48−113km/hは2.7秒に過ぎない。ポルシェ911ターボSがいるこのクラスでは最速とはいえないが、それでも上位に位置する速さだ。ちなみに、よりピーキーなポルシェは、ゼロ発進から2.5秒で97km/hに達し、4速での64-97km/hは1.4秒。2速ではなんと1秒フラットだ。
ブレーキについても、特筆すべきものがある。ペダルはリニアでカッチリしており、ABSの介入はほとんど感じられない。なお、ブレーキテストの制動距離は、通り雨があった後に計測したものだ。