電動の現代版イセッタ登場! マイクロ・マイクロリノへ試乗 全長2519mmでフロントドア

公開 : 2024.10.10 19:05

都心の流れへ問題なく交われる 最高速は90km/h

ドライバーの正面には、メーター用モニター。スピードとドライブモード、バッテリーの状態が表示される。必要な情報を確認しやすい。

内装は、基本的には高めの価格を納得させるものながら、ドアの内張りは安っぽいかも。ハンドブレーキやシフトセレクターは、少し華奢に思えた。

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)

荷室容量は230Lもあり、小型ハッチバック並み。小さめのスーツケースなら、2個積める。運転席から振り返れば荷室へ手が届き、必要な荷物を探すこともできる。

さて、ロンドンの市街地を走ってみよう。マイクロリノの最高出力は17ps。パワーウエイトレシオは28ps/tで、速いわけではない。とはいえ、0-48km/h加速を約5秒でこなすから、周囲の流れには問題なく交われる。

加速は滑らか。アクセルペダルを蹴飛ばしても、リアタイヤが暴れることはない。信号ダッシュでは、簡単に自転車をリードできる。

スポーツ・モードでも、加速が明確に鋭くなることはなかった。最高速度は90km/hで、郊外の幹線道路もさほど苦労せずに走れる。電車のような駆動用モーターのノイズが車内へ響くが、不快なほどではない。

駆動用バッテリーの容量は10.5kWhで、実際の航続距離は150kmほど。急速充電には対応しないが、コンセントに繋いで約4時間で満充電になる。都心部での平均的な通勤には、充分耐えるはず。

小さなバッテリーを積み、航続距離93kmのマイクロリノ・ライトもある。これは車重が425kgを切り、1人乗りになるが、英国では原付免許で運転できる。

コンパクトカーへ近い操縦性 乗れば笑顔になる

操縦性は、意外にも一般的なクルマへ近い。マクファーソンストラット式のサスペンションが、路面の不整を驚くほど吸収してくれる。走行中のロードノイズも小さい。

タイヤは13インチと小径だから、石畳などは苦手。それでも、フォルクスワーゲンUp!やホンダeと、市街地での質感に大きな違いはないと感じた。

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)

短い全長と細いタイヤ、柔らかい足まわりで、動的能力が高いわけではない。ブレーキペダルの感触は薄く、反応を予想しにくい。ステアリングホイールは軽く回せるが、ほぼ無感触。カーブを攻めると、横転しそうなほどボディが傾く。

とはいえ、小さなクルマの運転は面白い。低い速度域で充分楽しめる。

輸入代理店は、マイクロリノに競合はいないとしているが、電動マイクロカーや小型ハッチバックと比較されるだろう。筆者はアミより洗練されていて、サイレンスS04より魅力的だと思う。しかし、それらよりお値段は高い。

同等の予算で、ガソリンエンジンで走るコンパクトカーを買えてしまう。そこには5名分のシートが付くクロスオーバーや、走りの良いスポーツカーも含まれる。

反面、アイコニックな見た目は、アグレッシブなモデルが増える中で極めて好印象。実用的で楽しい小さなクルマとして、高く評価したいことも事実だ。

航続距離など忘れて、マイクロリノを運転していると笑顔になってしまう。他人のインスタグラムにポストされた写真の中でも、きっと笑っているはず。

◯:考え抜かれたパッケージングと高い実用性 マイクロカーとして驚くほどの洗練性 多くの人を喜ばせるスタイリング
△:遅い充電速度 そこまで機敏に走るわけではない お高めの価格

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)のスペック

英国価格:2万1170ポンド(約406万円)
全長:2519mm
全幅:1473mm
全高:1501mm
最高速度:90km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:177km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:613kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:10.5kWh
急速充電能力:2.5kW
最高出力:17ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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