アウディQ6 E-トロン 詳細データテスト 新プラットフォームの高い実力 質感と操作性は1歩後退

公開 : 2024.10.12 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

Q6 E-トロンはSUVなのか。アウディの中では、Qのつく車名はSUVを指すが、横に立ったり、驚くほど低い運転席に座ったりすると、ワイドでやや背が高いハッチバックのように感じる。

Q6を含む一部のEVを悩ませる、どこかバスタブの中を思わせる感覚は避けられない。短いボンネットや高いスロットルとベルトラインが、この大きなクルマをさらにワイドに感じさせる。たとえそれが、室内スペースの本当の広さから来ているのではないとしてもだ。

運転席に座ると、実際以上にボディがワイドに感じるが、慣れてしまえばシャシーの出来のよさが見えてくる。ハンドリングは後輪優勢で押し出される感覚がある。
運転席に座ると、実際以上にボディがワイドに感じるが、慣れてしまえばシャシーの出来のよさが見えてくる。ハンドリングは後輪優勢で押し出される感覚がある。    JACK HARRISON

結果、Q6は路上での位置決めがやや難しくなっているが、シートをちょっと高めにするとやりやすくなる。そして、基本的なドライビングポジションは非常に調整が効く。シート自体はすばらしい出来で、快適に乗り続けることは容易だ。

かなりのワイド感により、このクルマを自信をもって運転できるようになるまでには多少の時間を要する。その次のハードルがステアリングで、コンフォートモードでは軽すぎ、中立付近がナーバス。奇妙な形のステアリングホイールは、それを補完するものではない。幸いにも、ダイナミックモードにセットすれば、より直観的になる。あるべき姿に達してはいないとしても。

いったん、そのボディサイズとステアリングに慣れてしまえば、これが出来のいい楽しめるシャシーだということがわかるはずだ。方向転換のしかたで車重に気づかされるいっぽうで、グリップが豊かで鋭くターンインするので、重さに邪魔されることはめったにない。

シャシーに負荷がかかると、ステアリングはグリップレベルをうまく伝えてくるようになりはじめ、コーナー出口で加速するにつれドライブトレインの後輪優勢な感じがハッキリ感じられるようになる。非常に安定していて、公道上でトラクションを失うようなことはないが、コーナリング時には引っ張られるより押し出される感覚がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事