【詳細データテスト】メルセデスAMG Sクラス 強力なPHEV ハンドリング良好 快適性は犠牲に

公開 : 2024.10.26 20:25

歴代最強のSクラスは、AMGに期待する速さにおいて不満を感じることはありません。しかし、Sクラスにあるべき快適さや静粛性は、走りの犠牲になっている部分が小さくありません。PHEVは、経済性より動力性能重視です。

はじめに

生真面目なフラッグシップサルーンに、冗談みたいな推進力を与えるのは、メルセデスには珍しいことではない。そこにAMGが最後の仕上げをしない場合も多い。旧型のS600Lは、2003年当時で81.6kg−mを発生するV12を積んでいた。

にもかかわらず、活発なSクラスの系譜に連なる最新モデルのスペックを見ると、メルセデスはそうしたプロジェクトへの熱意を失いはじめたのかと思うかもしれない。このS63が積む4.0LツインターボV8のトルクは91.8kg-mと、20年前のS600からさほど大きく伸びていない。

テスト車:メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス・ナイトエディション
テスト車:メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス・ナイトエディション

しかし、このクルマにはEパフォーマンスの名を持つPHEVで、リアアクスルに電気モーターを備える。純正モデルとしては最強のSクラスであるだけでなく、メルセデスのセダン全体で見てももっともパワフルだ。

トータルで802ps/145.9kg-mというのだから、このS63 Eパフォーマンスが速いことは疑う余地がない。そして、この20万ポンド(約3940万円)近いモデルは、英国仕様では唯一のV8を積むSクラスだ。しかし、それ以上に気になるのは、これだけのパフォーマンスモデルが、Sクラスの本分である快適性をどれくらいのレベルに仕上げているのかということ。やはり、世界水準の高級サルーンなのか、それとも無駄に高いクルマなのか、確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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