【詳細データテスト】メルセデスAMG Sクラス 強力なPHEV ハンドリング良好 快適性は犠牲に

公開 : 2024.10.26 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

前回このロードテストで取り上げたAMGのSクラスは、5.5LツインターボV8を積んでいた。今回の4.0Lユニットは、不思議なことにピークトルクがまったく同じ。ただし、発生回転数は250rpm低い2250rpmからだ。また、2013年にテストしたS63にはなかった、32.6kg-mのリアモーターを積んでいる。

さらに、アクティブスタビライザーやアクティブエンジンマウント、後輪操舵、そして英国へは導入されなかった4WDが備わる点も、先代とは異なる。88Lの燃料を入れての実測重量は2666kgで、V8を積む7シーターのBMW X7より重い。

エクステリアは、内に秘めたパワーを考えると控えめだ。とはいえ、カーボントリムを備えた大型インテークは、トランクリッドの赤いS63バッジと同じく、最強のSクラスであることを示している。
エクステリアは、内に秘めたパワーを考えると控えめだ。とはいえ、カーボントリムを備えた大型インテークは、トランクリッドの赤いS63バッジと同じく、最強のSクラスであることを示している。

その重さの半分以上が、車体後半にかかっている。13.1kWhのバッテリーや、モーターとそれに付随する2段ギアボックスのほか、電子制御LSDも積むため、フロントエンジンながら前後重量配分は46:54とリア寄りだ。

バッテリーは、英ブリックスワースにあるF1エンジンの名門、ハイパフォーマンス・パワートレインズが開発。素早い充放電サイクルを目指したもので、14Lのクーラントで温度を管理する。さらに、モーターは9速ATを経由してV8に接続するので、エンジンとモーターのトルクは同時に使用できる。

モーターは13500rpmで32.6kg-mを発生し、後輪へ送り込む。そのときのエンジンの回転数は問わない。このほか、4マチック+用のトルクスプリットとなる電子制御クラッチパックを備え、V8とモーターのパワーを必要に応じて前輪へ伝達する。

ダンパーとエアスプリングは専用チューン。アンダーボディの補強ブレースや、フロントが400mmのコンポジットブレーキディスクも専用品だ。

記事に関わった人々

  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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